~この記事は、7月中旬の回想録です。~
意気揚々に自宅に持ち帰ったスッポン。
非常に気性が荒く、指を食いちぎらんばかりの勢いで噛み付いてきます。
泥吐きのために、生簀に活かして置く事にしました。

ちなみに、この日一緒に釣れたナマズは洗面台で活かすことに。
・・・・寂しい寂しい言っとりますが、
風呂場にスッポン、洗面台にナマズがいる家に、誰か遊びにこられても大問題ですよ。
ちなみに、スッポンを捌くのは初めてではありません。
学生時代に学校の喫食室で同級生と、養殖のスッポンを鍋にして食べたことがあります。
またこの時、スッポンの頭蓋骨をアセトンでよく脱脂して標本にし、後輩の女の子にプレゼントしました。・・・え?女の子に亀の頭をプレゼントするのは、
倫理的に問題があるんじゃないかって?喜んでたから、いいんです!!4日後・・・

未だ元気なスッポン。
養殖物に比べると比較にならないほど獰猛です。
さぁ!覚悟はいいかな?スッポンちゃん!首をはねちゃうぞぉ!
スッポンをひっくり返し、青紙包丁を手に狙いをさだめ・・・・
・・・・・ズドン☆その時
背中に嫌な汗が流れた・・・・
刃が通らない。おかしいな・・・・養殖物のときは、刃が通ったのに。
1時間以上、首を断とうと試みた。
力一杯押し込んでも、包丁の背をハンマーで叩いても、首骨が太く首を断つことができない。
どうしよう
どうしよう
大量に出血しながらも抗うスッポン。
こちらをじっとにらんでいる・・・。
あれ?
あれ?
命をもらうって、こんなに難しいことだっけ・・・?
こんな辛い気分になるんだっけ・・・?首に包丁を突き立てられながらも、必死に生きようとするスッポンの生命力に怖気づいてしまった。包丁を抜き、呆然とスッポンを眺める。
鼻と口から血を流し、絶え絶えに呼吸をしている。
もうやめたい・・・・やめて川に返したい・・・。
だめだ!
ここまで傷つけてしまったのだから、責任を持っていただかなければ!もうこの方法しかない!
鍋に水を入れ、スッポンを押し込みフタを閉じる。
火をかける。温度が上がり、鍋の中で暴れるスッポン。
必死に押し出ようとするスッポン。
こちらも必死でフタを押さえつける。
次第に押し返す力が弱まっていき、
鍋を爪で引っかく音がやんだ。
虐殺した。
画像無修正注意初めに、ふざけた気持ちで包丁を振り下ろしたことを後悔した。
画像無修正注意硬い骨に打ちつけたせいで、包丁はガタガタになってしまった。
しかし、できる限り綺麗に解体を行った。
精巣があり、オスだということがわかった。

19時から初めて鍋ができた頃には、すでに0時を回っていた。
<いただきます>うまい。濃厚で最上級の旨みがある。
泥吐きが不十分だったので消化器系は入れなかったが、余すとこなく頂かせてもらった。
この時私は思った。
生き物を殺すことの重み。命を頂くことの責任。
そして、なるべく苦しまずに逝かせる、料理の技術が必要だということを。
大事なことを教えてもらって、ありがとう。
そして、私から伝えられる最後の言葉
<ごちそうさまでした。>~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あ~・・・・忘れてた!
あの生命力!あの獰猛さ!そして、あの濃厚なスープ!
少しアンラッキーが重なっただけで、へこたれてどうする!
もっとスッポンのようにたくましく生きねば!
よぉ~し!今週の土曜日は、足に負担がかからないサビキ釣りでも行こうじゃないか!
\でも土曜の天気は大荒れだよ!/
\マジっすか!/
<おわり>
<狩猟編はこちら>
数あるカモ類の中でも、とりわけ味が良いことから鴨の王とも呼ばれる『マガモ』。
もちろん食味だけではなく、きらめく青いストライプの翼鏡や黄褐色に縁取られた羽毛など、
その美しい姿も大きな魅力です。
もし、ハンターが肉を食べるためだけに動物を仕留めるのであれば
マガモの肉と家禽であるアヒルの肉には大差はないでしょう。
しかしその獲物の美しさを思い出しながらその味を楽しむことは、
ただの食事ではない、芸術的な輝きを持つ楽しみだと僕は思っています。
「そんな考え理解できない!」と、よく反論を受けますが・・・・
まぁ、芸術というのは万人に理解されるものではありませんしね。