
気温が低く、風が強い中。
今回は近場の海岸に
『マテ貝調査』をしにやって参りました。
「マテ貝」と言うと、多くの方が
「春から初夏にかけて掘るもんでしょ?」と思われるかもしれませんが、
極寒期でもマテ貝はいるようです。では、なぜわざわざこの時期にマテ貝を掘りに来たかと言うと、
人が居ないからです。温かくなってくると、親子仲睦まじく潮干狩りに来るファミリー・・・
真面目そうなお父さん(しかも私と同じぐらいの年齢)・・・
幸せそうにはしゃぐ子供達・・・
それを微笑ましく見守る奥さん・・・そんな風景に、デカイスコップを振り回す怪しい男が写り込んでは、せっかくのハッピーメモリアルが台無しになるじゃないですかっ・・・!!ど・・・同情なんてしないでくださいっ!!いいんですっ!皆様の幸せなお時間を汚さないために!僕は一人寒空の下、マテ貝を掘るんですっ!!
・・・・・
・・・・ぐえっへっへっへっ。
やはり、
イイ~サイズがおるではないか!!シーズンに入るとファミリーが大挙として押し寄せるので、良型は掘りつくされてしまいますからねぇ・・・
・・・春が来る前に、でかいのをたくさん採集しちゃいましょう。
ウケケケケ・・・・そんな寒空の下、
干潟をうろうろしているのは私だけだろうと思っていましたが、
遠くのほうで1組の老夫婦が何かを掘っているのを見かけました。
老夫婦が居るのは砂浜ではなく砂利浜。
(・・・こんな季節に、砂利の下に何かいるのかな?)
今回はこの浜の偵察をかねているため、情報収集のために声をかけてみることにしました。
「こんにちは。何を獲られとるんですか?」 ・・・・・
|  |
(・・・・む。会話を嫌がる人だったかな?)
・・・・・のり。
|  |
「・・・・海苔?」
ほれ、その辺に生えとるやろ。
|  |

(・・・この海草のことか?)
「食べられるんですか?」
味噌汁にするといいよ。 あんたも持って帰んなさい。
|  |
(・・・う~ん。まぁ、海草を持って帰るのはいいのだが、)
(本当に海草を取りに来たのか?この人は?)
(明らかに何かを掘っていたのだが・・・)
「・・・あ~。この辺りの砂利場には、アサリとかいますか?」 いや。おらん。 海苔しかない。
|  |
(ほんとかなぁ~・・・??)なんか
怪しいですね・・・。しばらくこの浜を探索する必要がありそうです。

せっかくなので、言われたとおり大量に生えている
『名称不明の海草』を採取しましょう。

家に帰ってよく観察してみると、表面に大小さまざまな穴があいています。
この特徴から同定してみたところ、どうやら
『アナアオサ』と言う海草のようです。
では、まずはざっと洗って生で食べてみましょう。いただきます!
おっ!!
・・・・。
なんだろう・・・。小さい頃に
『ボンタン飴』のオブラートだけをはがして食べたときと同じ心境・・・旨い・マズイと言う味のベクトルの問題ではなく、『食物として成立しているか』を審議するライン。
・・・・。
いやいや!あのおっさんは、味噌汁にするって言ってたぞ!熱を加えてみると変わるのかも!?
さっと茹でたアナアオサは、ほうれん草のような見事な緑色!
色彩がいいですねぇ!ちょっとだけお醤油をたらして、いただきます!・・・。
風味もねぇ、味もねぇ、しかも食感がポリエチレンですね。う~む。これは素材に難がありすぎますねぇ。
まぁ、美味しくなければ『食べなければいい』話なんですが・・・
な~んで、こんなに摘んできちゃったのかなぁ・・・。
う~ん・・・。
捨てるのも何だし・・・・よし、最後の手段だ!!
まず、ざっと茹で上げ、

これを広げて1日干します。

乾燥したアナアオサをすり鉢で粉末にして・・・・
お好み焼きの上に振りかけます!!・・・あ。お好み焼きは普通の市販品で作ったものです。
今回の主役は悪魔でも『青ノリもどきのアナアオサ』ですからね!では、いただきます!!
・・・・うん。(・・・・お好み焼きは、やっぱりうめぇ~なぁ。)
・・・・・・。
・・・・あ。ほんのりと
『乾燥わかめ』の香りがします。
いや・・・どちらかと言うと
『香り』ではなく、
『臭い』がします。
てか、こいつ。腹の中で膨らむせいなのか、
食べた後で胃の奥から『偽わかめ臭』を漂わせてきやがります!!・・・・・うぇっぷ。胃がもこもこする・・・・。
アナアオサの食味レビュー。『食品として微妙なレベル。好んで食べるものでは無い』・・・って感じでした。
さて今回、一見おっさんに騙されたような話でしたが、
実はまだ・・・続きがあるんですよ。
\ごちそうさまでした!/
次回の主役は『マテ貝』・・・ではないんですよ。
ワンクリックいただけると幸いです!
~前回からの続き~次の日。マテ貝がいることがわかったので、装備を整え再び地元の干潟へやって参りました。
昨日はなんだかんだで
7匹しか取れていませんからね。
3時間ほどマテ貝を採取し、ふらふらと車に戻りつつ探索をしていると・・・

あっ・・・・!
昨日は気にも留めていなかった一面に広がる海草!
あの時は全部同じに見えた海草!
しかし・・・今日は遠目からでも不思議と違いがわかるっ!!
海草を引きちぎり、触ってみると・・・思わず口から漏れた言葉・・・
・・・・まぁ、
仕事もしている20代後半の男が発していい言葉ではないのですが、
この手触り、香り・・・おそらく、本やネットで海草のことを調べていても、
今日この日、この時、この海草を手に取って、まじまじと調べることは無かったでしょう。
しかし私は昨日、
『喰えない海草』を、触り、嗅ぎ、味わっています!
だから感じるんです。こいつは喰えます!!
さて、さっそく摘み取ってきた
『謎の海草B』を食べてみましょう。

ちなみにマテ貝は、3時間掘ってこれだけ・・・。
『マテ貝堀に行って、マテ貝の話は全く無しかよっ!』と思われる方もいますでしょうが、
マテ貝堀は後日必ず特集しますよ。
なんたって、『マテ貝堀時速勝負』を挑まれていますからね・・・\・・・ぼ、僕は、僕はあの『黒ウサ君』に勝ちたい!!/
さて。

まずは生を食べてみましょう。
いただきます!・・・ん!?
んん!アナアオサと異なり、柔らかい口当たり!
そして、ふわりと来るこの香りは・・・間違いなく『アオノリ』です!

棒状の葉っぱ。根に行くほど細長くなり、アオノリの風味・・・この特徴から同定してみると、
ほぼ間違いなく
『ボウアオノリ』でしょう!!
いや~。昨日アナアオサを食べていなければ、
めぐり合うことが無かったこの青ノリ。『五感で学ぶ』って、とっても身になることなんですね!前回のおっさんが指していたのは、この青ノリの事だったんでしょう。
・・・たぶん。
毒物ではないことが確認できたため、料理に移りましょう。
せっかくなのでマテ貝と合わせてみることにします♪

まずは、マテ貝と生青ノリの味噌汁!
マテ貝は、あま~~~い出汁がでるんですねぇ~・・・・
青ノリはあまり存在感を出しませんが、マテ貝の風味を引き立ててくれる上に、
食感はすごくいい感じです。

マテ貝と青ノリの磯辺揚げ。
これはしっかりと青ノリの香りが引き立ちました!ちょいと青ノリの分量が多すぎて食べ辛かったですが、配分と素材を工夫すれば素晴らしい一品になりそうですね!
そして皆様お待ちかね!青ノリと言えば、やっぱりコレっ!!
水分をしっかりと飛ばして風味を閉じ込めた
乾燥青ノリ!!・・・え?
『お好み焼き』じゃないのかって?いえいえ。今回の主役は悪魔でも
『青ノリ』。
お好み焼きは飾りですよ。
さて、
さっそく乾燥青ノリをいただきます!!んん~っ!市販品よりも大分風味は落ちますが、確かに『いつもの青ノリ』です!
もう少し素早く乾燥ができれば、風味をもっと閉じ込めることができると思います。
まだまだ研究が必要ですが、
これで食生活で青ノリに困ることは無くなりましたね!!・・・テンション高めで前回から引っぱったのに、安っぽいオチしかなくて申し訳ありません。
\ごちそうさまでした!/
『黒ウサ君』って誰よ?って方は、是非ワンクリックを。
私の先生でもあるそのウサの名は・・・

散策中、浅瀬に黒い海草の群生を発見。
(・・・この海草は・・・晩御飯になるだろうか?)海草を一株掴み触感を確かめてみると・・・
むむむっ!柔らかいっ!たぶん喰える!!
持ち帰った海草の同定を開始。
ちょっと千切って口に入れてみると・・・
(う~~ん・・・・味がしないなぁ。)姿形からも調査してみましたが、特定することが出来ませんでした。
・・・まぁ、
とりあえず料理してみましょう。

ひとまず少量を包丁で細かく叩き、ホットプレートに敷き詰め弱火で加熱します。
・・・乾物にしてみれば、この海草が何かわかるでしょう。
本当は天日で干したいのですが、
ほらぁ~・・・外に干すって言っても、福岡県はPM2.5・・・ちょっと体に悪そうじゃないですか・・・・。・・・・まぁ、謎の海草にとんでもない毒物が含まれているかも知れませんが。

刻んだ海草に熱が周りはじめると、
むわぁ~~~ん・・・・と磯臭さが部屋に広がります・・・
(生にはこんな臭さはなかったんだが・・・大丈夫かな?)
さらに加熱を続けると・・・・

(・・・・ん??)
(色が深い緑色に変化してきた・・・)(この海草ってひょっとして・・・・)
おおぅ!海苔だ!板海苔だ!!おそらくこの海草はスサビノリ!ごく一般的に板海苔として利用される岩海苔の一種だと思われます。
出来立ての板海苔をさっそく味見!いただきます!!
・・・・・こ、これは
旨い!びっくりするほど旨いっ!!市販の海苔以上の濃厚な香りが鼻腔に広がるっ!
この香りは正に高級海苔!1パック700円はする味だっ!!
よ~っし!十分に喰えることがわかった!!
しかし、板海苔だけではさすがに腹の足しにはならんので、
スサビノリを醤油、砂糖、みりんを2:1:1で火にかけ煮つめ、
出来上がった佃煮をご飯に乗せて~~!

うぉぉぉぉ!!これは!
銀シャリが進む進むっ!!
美味しいだけじゃありません!
今までお金を払うことでしか味わえなかった食品を、
採取してきた食材で再現できたことに思わず感動!色々な味に出会え発見できることが、マルチハンティングと言う趣味の醍醐味ですね!・・・・ただ、今回の海苔料理
砂が結構混じってました。海から揚げたばかりのスサビノリは、市販品とは比べ物にならないほど
濃い風味がありますが、表面に砂が大量に付着しているようです。
かといって、泥抜きのために念入りに水洗いすると風味が激減します。
砂抜きをどうやったらうまく出来るか・・・市販品に近づくためには、まだまだ研究が必要ですね。
\ごちそうさまでした!/
そろそろ・・・竿が出したいとですっ!
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