汝、腕を磨け「アコウの梅茶漬け」

imgp1273.jpg
56cm。
ここまで成長するには、およそ15年から20年かかると言われています。


10万粒以上の卵の中から生存競争に勝ち抜き、
敵無しとなるまで成長して、悠々と大海を泳いでいた。
それが、たった1本の針と糸により
今私の前に食材として横たわっている・・・

ただの食材には感じないだろう、このアコウに対する
えも言われぬこの気持ち・・・それは

kannsha.jpg


自分の持ちえる技術を集結し、至高の料理としていただくこと。
これこそ私が貴方に送る

心からの


心して研いだ包丁を、エラ蓋から右斜め150度に鋭く
第一刀を・・・・入れる。





imgp1275.jpg
うおぉぉ!!骨が硬すぎてこれ以上、刃が進まないぃ!!










こぉのこのこのこのこの!!こんのぉーーーーー!!




はぁはぁ・・・



ほ、包丁の刃元が欠けちゃったよ・・・・。







ガッツン!!ガッツン!!ガッツン!!ガッツン!!


imgp1276.jpg





ふぅふぅ・・・・

硬い地面にまな板を置いて、頭と尾っぽを目打ちで固定し、
プラスチックハンマーで包丁の背を叩きまくって、
何とか三枚におろせた・・・ぞ。


臭い事述べて置きながら、
結局、土木工事みたいな方法で料理しちゃったよ・・・




imgp1277.jpg
さて。
半身の厚さもかなりのもの。
躍動感を感じる身に、薄っすらとしたピンク色の身がとても綺麗ですね。



imgp1291.jpg
頭は半分に割って(これも土木工事で)
湯引いてヌメリと血合い、鱗を取り除きましょう。

30分ほど灰汁を掬いながらアラを煮出したら、
野菜と、切り身を入れて・・・

imgp1292.jpg
アコウのちり鍋!
いただきます!!











う・・・・・この・・・・・・出汁・・・・・




大海原を生き抜いた力強さ!?
たくましい、たくましいぃぃ味・・・・


出汁に浮かぶホツホツとした油は15年以上を生きた記憶の粒か。
一口すすれば、「スパァン」と力強く海で過ごした魂が体の中に染み渡ってくるようだ・・・

20数年間、ぬるぬると過ごして来た私が味わっていいものなのだろうか?

いや。そんな私だから感じるのかもしれない・・・この
狼狽するほどに感動する力強い旨さを・・・






しかし・・・・・・










身。

imgp1296.jpg
旨い。確かに旨い。
身も確かに美味しいのだが、
しっかりとした身質は、熱をかけることによって硬く、
厚く切った身は固持なまでにその他の味付けと調和しない・・・・

彼に対して感謝の念を送ることを決心した者として、
この料理に対して、最大の賞賛を送ることは・・・







できない!!





imgp1295.jpg
では、刺身、そして皮の湯引きは・・・・!









うん。
皮の湯引きは、コリコリとした歯ごたえの中に
じんわりとした、深い、深い旨さが広がる・・・


そして刺身。
前回は比較対象がいたので「そうでもない」と感じてしまったが、
薄く削ぎ切った身は、氷を割るかのごとく。
細い一本の筋が通った味わいは、
ほのかな余韻を残し喉を通る・・・。
出汁の力強さと比較して、
なんと上品、高貴すぎる食味なのだろうか!!





・・・・・見えた。







私の思う最大にして最高の感謝の料理。

出汁の力強さ。そして身の高貴さの両方を併せ持つ一品・・・・


それは



imgp1307.jpg

アコウのそぎ身に叩いた梅干、昆布、浅葱を散らし・・・・・




imgp1311.jpg
沸騰した出汁を入れた、
アコウの梅昆布茶漬け。




出汁を注いだら、即座に喰う!!


熱い力のある出汁で薄く熱の通った身を口にいれ、
その柔と鋼の狭間をかみ締めると・・・・













強く、たくましく、そして気品高い、

至高な味わいが同居した一瞬・・・

熱で茹だれる寸前に見せた一瞬に見せた複雑な食味・・・・




うまい


凡庸、あまりにも凡庸な感想。


しかし、私にはこの感動を表現する語彙力が足りない。




しかし、この感動の心を

言葉では表現ができない私からの

最大にして最高の賛辞・・・・それは









ご馳走様






毎週、死んだ目をして起き上がる月曜の朝を、
15分も早く出勤できるほどの
元気を・・・頂きました!!







この茶漬けは旨そうですねー。
うー、食べてみたい。
皮も湯引きで食べられるのですね。
[ 2012/11/12 01:01 ] [ 編集 ]

>>ねぎ夫さん
醤油とみりんで味をつけたのもいいですが、
出汁と梅の酸味で食べる茶漬けは、驚くほどおいしいですよ!

皮の湯引きも是非試してみてください!
コリコリっとした歯ざわりに、確かな旨み。たまりません!
ただ、鱗が硬くてしつこいので、丁寧に取ってあげてくださいね。
[ 2012/11/12 22:44 ] [ 編集 ]

あ~どの料理もまじ美味そう!実家は糟屋郡でホーム釣り場は志賀島です。
ジビエさんは実家は県外?
[ 2012/11/13 22:35 ] [ 編集 ]

お尋ね

はじめまして。画像検索でたどり着きました。
料理、どれもおいしそうですね。だし茶漬けが無性に食べたくなりました。

以前の記事に関する質問で恐縮なのですが、北九州ではほとんどのサッパにヤドリムシが付いているのですか!?
大学でタイノエなどの仲間の研究をしており、現在サッパヤドリムシを提供していただける方を全国で探しているのですが、ぜひご協力願えないでしょうか?

唐突なお願いで申し訳ありませんが、ご検討いただければ幸いです。
[ 2012/11/13 22:59 ] [ 編集 ]

>>たけさん
おー、志賀島あたりと比べると、魚影の濃さは段違いですね~
あのあたりでも釣りしてみたいなぁ。
私はず~っと北九州市民です。
のろわれているので、北九州から出ることができないのです。

>>ノエさん
うはははw
もちろん協力させてください!
ただし、ブログのネタにさせていただくかもしれない事をご了承くださいねw
管理者のみ閲覧のコメントで、コンタクトのできるメールアドレスを教えてください。
サンプル数や送付方法を指定していただければ、早くて今週の日曜日には
ご提供できますよ。
[ 2012/11/14 22:27 ] [ 編集 ]

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック:

この記事のトラックバック URL
http://kodokunogibier.blog.fc2.com/tb.php/137-ade7bca4