上手に『アビエ』できるかな?


前回
羽を毟り保冷材でよく冷やして持ち帰った、初猟果『カルガモ』。


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(初めて料理をしたのは、初めて魚(小アジ)を釣った5年前
あの頃はガスコンロの付けかたすら知らなかったのに

今では鳥を捌こうとしている。

こんなことをするようになるとは思っても見なかったな・・・。


・・・さぁ!新しい世界へ!
鳥料理に挑戦だ!!





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ちなみに鳥の解体には和洋中、様々な方法がありますが
このブログでは『フランス料理式』
を採用します。

 


しかし、なにぶん素人なのでミスや勘違いが多いかと思います。
お気づきの点があれば、コメント等でアドバイスを頂けましたら幸いです!

 









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「ええ~っと・・・なになに?」








①背を上にして、首の皮に切れ込みを入れ『首づる』をむき出し、
 頭の根元の『気管』に切り込みを入れ、胴体側にはがして行く。








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②開いた喉元から指を入れ、背側にくっついている『肺』をはがす。





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③肛門付近のOリング状の骨を取り外す。








④肛門の周辺に切り込みを入れ、肛門ごと内臓を引きずり出す。









「にょろにょろにょろ・・・っと、
出てくるのは『直腸』、『大腸』、『小腸』、ちょっとづつ形と色が違うな。
それに付帯する透明のブニョブニョは・・・『膵臓』か。」










「続いて出てきたのは・・・・
なんだこのデッカい器官は??




それは砂嚢(さのう)。別名、『砂肝』だ。
鳥は体を軽くするために『歯』が無いから
飲み込んだ砂で、餌をすり潰すための器官が
砂嚢だ。
ちょっと中を見てご覧よ。







「うおっ!!本当に『砂』が入ってる!!

それと、この色と臭い・・・これは『アオサ』か!?
そういえば、
あの干潟には大量のアオサが茂ってたよな。
あそこに居た鴨たちは、このアオサやノリが目当てだったのか。」







消化器系をチェックして『何を食べていたか』を観察することは、
ジビエの食味を予想する重要な情報源だ!

 


「そう言えばカモは、ドングリや落穂などの草食をしていると肉の味がよく、
巻貝や魚などの肉食をしていると肉が臭くなるっていうね。」




動物の食性によって変化する風味は『テロワール』と呼ばれるよ。
テロワールは見た目じゃわからないから、猟場にどのような食性を持つ
群れが飛来してくるか、長期的に観測しなければならないんだ。


「ジビエってフザンタージュ(熟成)に加え、
テロワールまで考えないといけないのか!!

ジビエ道・・・とんでもなく奥が深い!






「・・・ま、まぁ、気を取り直して内臓出しの続きだ。
砂嚢を引っ張って出てきたのが『肝臓』と『胆嚢』、『心臓』だな。

特に変わったところは無いが・・・
まぁ、よくもこんな小さい心臓で飛ぶことができるな~。」





 





「最後に気管と一緒に出てきたのは・・・これが『肺』か?」




正確には『気嚢(きのう)。哺乳類の肺とは異なり、
吸っても吐いても酸素を取り込むことが出来る構造になっているんだ。
この超効率的な呼吸システムによって、鳥は長い時間空を飛んで
(筋肉を動かし続けて)いられるんだね。


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「さあ。これで内臓を全て出し終わったんだが・・・。」





「血抜きをしていないためか?・・・・スプラッタだな。
それにこの血、なんだか『油粘土』みたいな臭いがするな。





その血の香りが、フザンタージュ(熟成)により
独特な風味に変化するんだよ。




風味ねぇ・・・まぁ、決して嫌な臭いでは無いけど・・・


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「『血は一滴残らず搾り出さないと肉が臭くなる
って印象がぬぐいきれないなぁ~。






カモの血は『ヤー・シュエ』と言って、中華料理では一般的な食材だ。
また、フランス料理では一滴残らず血を利用するために
『カモ絞り器』という専用器具があるんだよ!

 

「か、カモ絞り器!?
拷問器具みたいな名前だな!!」






http://www.thecultureconcept.com/circle/wp-content/uploads/2011/11/Pressing-the-Duck-2.jpg




あ。言っとくけど、一匹丸ごと潰したりはしないよ。
骨やガラを潰す道具だからね。

 
~~~~~
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「よし!最後に
水で腹の中を丹念に洗えば
アビエ(下処理)完了だね!」





いや!洗ってはダメだ!!

 



「ええっ!?
でも、腹の中にはまだ内臓の欠片や血糊が残ってるんだよ?
このまま1週間も置いておいたら腐っちゃうじゃないか!!






いいかい?『腐敗する』という現象は、元々付着していた微生物が
適温下において『自由水』と有機物(タンパク質など)を使って
増殖することだ。


「自由水??」







自由水とは純粋な『H2O』。他の物質と結合していない状態の水分だ。
対して血液や体組織などに含まれる水分は、H2Oに他の物質が結合した
状態で『結合水』と言う。そしてこの結合水は自由水とは違い

微生物が繁殖に利用できない水分だ!









つまり、血や内臓が残ってても
結合水が多いので腐敗は起こりにくいが、
水で洗ってしまうと、
自由水が付着するので腐敗が起こりやすくなる
んだよ!

 



「う・・・・、そ、それでも野生鳥獣の肉だろ?
危険な菌を保有している可能性もあるし、
食中毒を防ぐために洗ったほうがいいんじゃないか?




鳥類が保有している可能性が高い病原微生物は、
病原性大腸菌(E.coli)
サルモネラ菌カンピロバクターだ。
これら微生物は熱殺菌(75℃で1分以上)すれば死滅するため、
適切な調理を行えば、腹腔内に存在していても食中毒は避けられる。





逆に問題なのは、病原性微生物を洗い流した場合、
その水滴がキッチンや食器に付着し、

『二次汚染』を引き起こすことなんだ。

 


「う・・・っぐ・・・・!食中毒を防ぐには
『食材を水でよく洗うこと』だと信じていたのに・・・」






まぁ、どうしても血糊が気になるのであれば、
クッキングペーパーなどでふき取るか、洗い流した後、
①腹腔内部をよく乾燥させる。
②シンクタンクや調理器具を消毒する。
ようにね。






ちなみに猟場で『腸抜き』を行う事は、
調理場に病原微生物(+ウイルス)の保有リスクの高い
腸を持ち込まないためでもあるんだ。



「腸抜きには衛生上の理由もあったんだね。

~~~~~
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「と、いうわけで、
後は冷蔵庫の中で1週間ほど寝かせておけばいいんだね?」






いや、出来れば半日ほどどこかに吊るしておこう。
さっき言った体組織に含有される水分、『結合水』は、
時間が経つと自由水として流れ出てしまうんだ。




冷蔵庫に平置きする場合、どうしても下側に水分がたまるからね。
肉質が落ち着く半日ほど、5℃以下になる暗所に吊るして、
余分な水分を落としておくといいよ。



「5℃以下の場所か~、
夜から朝にかけてなら、台所でもそのぐらいの温度になるな。
とりあえずシンクタンクの上にでもぶら下げておこう。」








imgp5659.jpg


「・・・この光景、知らない人が見たら、
サタニスト
だと思われそうだな

・・・ちなみに縛るのは首側なの?足側なの?」






う~ん・・・別に違いは無いみたいだね。
ただアメリカ人は
『縛り首にするのは馬泥棒だけだZe!!』とか言って、
足側で縛る人が多い・・・らしいよ。




(続く!)




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カルガモ裏




しょうがないなー、
消毒アルコールスプレー送ろか?(噓)

シーバスもあんなに大きいのに、
あんなに暴れるのに
わりと心臓小さいよね^^

てか、台所、夜中5℃なの?@0@!
福岡なのに?
そっちに驚き〜〜〜

ちぇりーちゃん、ありがとう!
スカーフ今日はグリーンだったね^^

[ 2014/01/25 08:22 ] [ 編集 ]

Re: れおん さん

ちなみにジビエに限らず、市販品の鶏肉や豚肉も二次汚染の危険性が高いので
洗ってはいけないとWHO(世界保健機関)が言っとります。
魚や野菜は良く洗うのが常識なので、僕にとっては結構意外な話でした。

福岡県は、平均最高気温10℃、最低気温は5℃ぐらいですね~
ただし九州では雪が1mmでも積もると経済活動が破綻します。
凍死者もでます(嘘)
[ 2014/01/25 22:57 ] [ 編集 ]

おお!

今度フランス料理教えて!
[ 2014/01/26 00:56 ] [ 編集 ]

Re: じゃん さん

まだまだ始めたばかりのニワカです!
・・・が、狩猟の趣味が発展して料理にまで手を出してしまうと、
本当に仕事をしている場合じゃなくなりますw

今度是非、弾が獲物に当たる方法を教えてください~
[ 2014/01/27 01:24 ] [ 編集 ]

カモはロースト(ステーキ)が一番美味しい!!

おフランス料理
カモのオレンジソース あっちでは超ポピュラーな料理
http://www.youtube.com/watch?v=d5VzwkMPrBI

フランス語なのでわかりづらいと思いますが 笑
[ 2014/01/27 23:51 ] [ 編集 ]

私は気にせず水で洗ってました…。私は帰って羽むしり→ビニールに入れて1~3日冷蔵庫→捌いて部位毎にジップロック→冷凍って感じです。知らない事だらけです。勉強になります。
ちなみに、使った道具は洗って熱湯消毒して、可能なものは泡ハイターで除菌してます。以前、捌いたあと謎の風邪をひいたので、羽むしる時はマスク、腸出すときは使い捨て手袋で予防してます。

私的には鴨の食べ物が、羽虫>籾>どんぐり>巻貝の順で美味しい気がします。腹一杯の羽虫…衝撃でした。
[ 2014/01/28 00:07 ] [ 編集 ]

鴨の血を料理に活用することは知りませんでした。勉強になりました、ありがとうございます!
それにしてもずいぶんきれいに羽をむしれましたね。やっぱり火を使って毛焼きなんかも丁寧におこなってますか?
自分は産毛の処理に一時間以上かかっています・・・
[ 2014/01/28 10:49 ] [ 編集 ]

Re: やんまさん

全然わからないですよw
でも、ソースの決め手は『ジュ(肉汁)』なんですね!
これまで結構、魚料理を作るときなんか捨ててましたね・・・もったいない!

日本料理では果物を使ったソースを作ることはまずありませんからね。
このあたりはしっかり勉強してみたいです!
[ 2014/01/28 20:32 ] [ 編集 ]

Re: マルさん

野鳥に限らず、ブタ、鳥、牛などの肉も二次感染の危険性が高いため洗うのは御法度のようです。
・・・と、偉そうにネタにしましたが、コレを知るまで僕も洗ってましたw
狩猟と料理は密接に関係しているので、色々学ぶことも多くて楽しいですね~

ちなみに現在、A型インフルエンザに感染してダウンしております。
病院で『鳥インフルエンザです。』って言われないでよかった~w

『羽虫』が一番味が良かったとは驚きです!!
食性によってどのように味が変化するのか、テロワールのデータを集めないといけませんね!
[ 2014/01/28 20:45 ] [ 編集 ]

Re: 鯨の唐揚げ さん

『血』というとどうしても嫌な印象しか受けませんよね~。
この辺りはしっかりと調査をしてみたいと思います!

羽毛の処理は中華なべの上にカモを置いて、ガスバーナーで焼いてしまいます。
ただ、熟成させる前に羽毛を焼くと皮がカピカピになりますので、
解体寸前に残った毛を焼いてしまったほうがいいと思います。
今度は羽が付いたまま熟成させ、皮の風味がどのように変化するか実験して見ます!

最近では『ダックワックス』というのを使って、蝋で羽を固めて抜いてしまう手法が
メジャーに成りつつありますね。
[ 2014/01/28 20:56 ] [ 編集 ]

今回も

お写真が怖くて開けない~(笑)
早く料理になってほしいです♪
でも、狩をするということは食べるところまできっちりしなくてはいけませんよね。
すべての食材に感謝!
いただきますv-411
[ 2014/01/28 21:49 ] [ 編集 ]

連投失礼。

今まで獲った中では、美味しい順番と中に詰まってたエサはその順番なんですが、個体差とか時期などもありますので…一応、その点お断りを。たいした数、獲ってませんし(笑)
羽虫と言うか小さい甲虫というか…砂肝からあふれ出た瞬間、自分的に全米が泣きました。獲るまでも、獲ってからも奥が深い世界です。一生楽しめそうです。
インフルとはキツそうですね…。どうぞお大事に。
[ 2014/01/28 22:09 ] [ 編集 ]

我が家は持ち帰って毛むしり・毛焼き・内蔵出し、
それから腹の中を水洗いして、キッチンペーパーで拭いてから
ペーパーを詰め込んで、ペット用のオシッコシートで包んで
冷蔵庫で、4~5日ほど冷蔵庫保管、それから精肉して食していますよ。
(ペーパーは毎日交換しています)

水洗いはしないほうがいいんですね。。。覚えときますっ!

フランス料理には手を出していないので、今度ぜひ、教えてください。
[ 2014/01/29 09:27 ] [ 編集 ]

Re: ヒカル さん

狩猟と料理は非常に密接に結びついていると思います。
ベテランの猟師さんは非常にグルメの方が多く、
自宅にワインセラーや専門の調理器具が並べてあったりするそうですよ~
[ 2014/01/29 21:51 ] [ 編集 ]

Re: マル さん

もちろんジビエは個体差が非常に大きく出ることは承知しておりますよ~
ただ巷では(主にネットの世界では)『シカは臭い』やら『カモは脂っこい』など
決め付けた感想が非常に多く、誤解がはびこってますね~・・・

インフルエンザで頭がおかしくなっていますが、
幼馴染の女の子が毎日看病に来てくれるので、少しずつ快方に向かっています♪

・・・あれ?そんな子いたっけ?
[ 2014/01/29 22:00 ] [ 編集 ]

Re: なんくるないさぁ~ さん

鳥の腸内に潜んでいるサルモネラ菌のなかでも『サルモネラ・エンテリティディス』という種類は
僅か10数匹の菌でも食中毒を発症する可能性があるそうです。

おお!給水シートで水気を吸い取ってやればいいんですね!!
散弾で腸が傷ついていたときは、どうしても水洗いしたくなりますからね~
教えていただきありがとうございます!!


[ 2014/01/29 22:09 ] [ 編集 ]

ニコライ

ワクワクですね。いつも面白い記事ありがとうございます。
勉強になります(実践できないけどw)

初期から読んでましたが、ずいぶん遠いところにきたな~と。。感慨。。

調理場の衛生管理は、普通に買ってきた食肉を調理するだけでも気になるから、より大変でしょうね。
エラそうに恐縮ですが、まな板は(生肉調理のときは)非浸透性のプラまな板とかの方がいいよとか言われてるみたいです、包丁には木のがアタりがいいですけどもね。
ただ、(記事にもあったとおり)しっかり乾燥させればなんということはないと思ったりしてます。

インフル流行ってますからお大事に(私もインフルでダウン中ですw)
[ 2014/02/03 18:36 ] [ 編集 ]

Re: ニコライさん

誠にありがとうございます!
このブログを立ち上げた当初は、狩猟なんて夢でしかありませんでした。
色々と実現できたのは、ひとえに皆様方の御支援のおかげです!

そうなんです・・・木のまな板はカビが生えたりだとかメンテが大変なんですよね。
昔、料理初心者の頃使っていたまな板は、シロアリが湧いたことがありました・・・。

インフル!辛いですよねっ!!
僕はA型でしたが、最近タミフルの効かないタイプが流行っているみたいですね。
どうぞご自愛下さい!



[ 2014/02/03 22:13 ] [ 編集 ]

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