3年B組 『ボラの洗い・ボラの炙り』

(釣り編はこちら!)

img_3278.jpg
『ボラ』
実は一つお詫びがありまして、これまでボラと思っていたこの魚、
もしかすると近種の『メナダ』かもしれません。





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写真を見返すと、メナダの特徴である黄身がかった色合い、
朱色の口、瞳に掛かっていない脂瞼などが見て取れます。
しかし、ボラ特有の胸ビレの青い斑点が写っていたりと同定に
悩むところ・・・う~む。

このブログでは、分類学上『属』まで区別して記事にする方針なのですが、
手持ちの写真からはこれ以上詳しく判別でない上、
この事実に気が付いたのが、記事を投稿する5分前だったため、
今回だけはボラ=メナダと言うことで一つよろしくお願いいたします。

いや~・・・精進、精進。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  





「さ、今日はよく釣れたし、そろそろ帰ろうかね~


・・・おや?」


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「ん?なんだなんだ??



ここは俺達『ボラ』のテリトリーだッ!
雑魚は消えやがれッ!!



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「うおッ!なんでそんなに荒くれてるんだ?
君たち、ちょっと落ち着きなさい!」




うるせーよ、オッさん!



(・・・一応まだ20代なんだけど。)



俺達は邪魔だのウザイだの
どこに行っても嫌われ者。





こんな酷い扱いを受けて
グレずにいられるかってんだッ!




「あ~・・・確かにボラは鬱陶しい所があるよな~。
大群でやってきては釣り場を引っかき掻き回すし、
糸に触れて当りが読めなくなるし、ウキをつっついて邪魔したり・・・
まぁボラなんて
嫌われても仕方が無い魚だよね~。




ちょいッ待ちんしゃいッ!!


「!?」



こんッ・・・





ばかもんがー













あ、あんたは3年B組のッ!



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はい、皆~注目!
『ボラ』という字は~、こう書きます。



鯔の字




魚偏に・・・『とどまる』




とどまるとどまる

そうです。そして、この『留』の字の成り立ちは
「田(人家)の傍に流れる川や池」の象形から来ています。
つまりボラと言うのは、この文字が示すように、
『最も身近な魚』であったのです。




俺ら、昔から嫌われてたわけじゃないのか・・・。




また、『出世魚』であるボラの名前は、
若者が成長して行く過程
になぞらえた多くの
言葉を残しています。
例えば・・・





oboko.jpg


まだ世の中を全く知らない『オボコ』に始まり、
未熟ながらも育ち盛りを指す『青二才』
血気盛んな働き盛りの『イナセ』
そして、出世の行き着く先『とどのつまり』



ちょっと待てよッ!
何でボラなんだ?同じ出世魚なら、
ブリでもスズキでもいいだろ?




それは先も言ったとおり、ボラが最も身近な魚だからです。
幼魚が群れる姿から、盛んに水辺を跳ねる姿、
大魚となり大海に巣立っていく姿、
そんなたくましく成長する姿を観察する事ができたのは、
外洋性のブリでも警戒心の強いスズキでもなく、
常に身近に居る
ボラだったのです。




「なるほど、ボラ。それは
『成長』の暗示を持つ魚だというわけですね。」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  





imgp7478.jpg

と、言うわけで。今回のボラ料理は

このブログを開始した当初(2011年)にチャレンジした品目から
ボラの洗いとボラの炙りのリメイクです。

え?コレまでの流れと何の関係が有るのかって?

いや~、昔の記事を見返すと、
調理風景や盛り付けが
あまりにもアレですからね。
ここは成長を暗示させるボラを使って、
この3年で料理の腕がどのぐらい成長したかをご覧頂く
と言った趣向なのですよ。




さて、まずはボラの下処理。
釣り場で必ずやっておくのが血抜きと内臓出しです。



img_3285.jpg
また、
ボラの鱗は非常に硬いため、鱗を引くと飛び散りまくります。
それはもう、キッチン周りや冷蔵庫の下、天井やら靴の中にまで
大冒険をしやがりますので、鱗はなるべく釣り場で処理しましょう。


さらに、ボラの体表から出る粘膜生臭さを持っています。
調理中、包丁に付くと身に臭いが移るため、出来るだけふき取ることをオススメします。
ちなみにこの臭いは特別臭いと言うわけではありません。
臭いで言えば、皆のアイドル
サヨリちゃんはもっと変な臭いがしますし、
王者イシダイの王子こと
サンバソウはもっとヌメヌメしてます。






imgp7490.jpg  

さて、三枚におろして皮を引いた身がこちら。
ご覧下さいッ!このなんとも言えない美しい~
ボラの
『白身』・・・・


・・・いや、違うッ!!


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ボラは白身魚ではありません!
その赤身とも白身とも言えないポッてりした薄ピンクの肉質、
言うなれば『ロゼ身』



そして、このボラ独特のロゼ身が
料理の幅を無限に広げるのですッ!!



 imgp7581.jpg
 
まずはリベンジの一品、一晩寝かせた身を薄く削ぎ引きます。
コレを氷水に約5分ほど付け身を引き締めて完成ッ!





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『ボラの洗い』ッ!!




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氷で締め上げた身は、『ヒィンッ!』と締まり、
白身成分が全面に押し出された舌触りにッ!
さらにッ!
細粒化した脂がサラサラと舌の上で踊るッ!!

例え身に臭みがあったとしても、冷やすことにより臭みは感じなくなります。

2011年のボラの洗いと比べて、少しは包丁の腕も上がったかな?




 imgp7567.jpg
続いて、皮を付けたままサクに取った身をガスバーナーで炙り、
酒に塩を適量混ぜた『酒塩』に浸して荒熱を取り完成ッ!




imgp7569.jpg
『ボラの炙り』ッ!
先にも述べたとおり、ボラの皮には生臭さがあります。
しかしボラは皮は旨いッ!
その旨味捨て難しッ!!
そこで皮をこんがり焼いた松葉造り風です。

ゆず胡椒を添えて~・・・いただきますッ!



imgp7577.jpg

うひゃぁ~~ん・・・

皮目はこんがりッ、身はぷっくりと膨れ上がり、
赤身の旨みがじんわぁ~と広がります!!

よく、ボラは脂の乗った『寒ボラ』が最高と言われますが、
何をおっしゃるッ!
例え脂が乗っていようとも、産後の身が痩せた冬のボラよりも、
しっかりと情熱的な
赤身の旨みが走るのは夏ボラなのですッ!!


ちなみに2011年のボラの炙りはこちら。
ああ・・・昔の自分に教えてやりたい。バーナーは1000円で買えるのよ。






imgp7518.jpg
いかがでしたかボラ料理ッ
白身にも赤身にもなるこんなにも発展性の高い、
まるで無限の成長性を秘めた
若者のような食材は他にはありませんッ!
もし少々気に入らない所があっても、そこは一手間かけてあげればいいのです。





ボラの持つすばらしさは言葉だけではありません。
例えば、生後100日を迎えた『お喰い初め』
正月、新人の門出の祝いなどでは、
成長と出世の『祝い膳』としてボラ料理が珍重されていました。



そんな縁起のいいボラを毛嫌いするようになったのは、
一つに若者が力強く成長する姿よりも、大人に従順である事を
良しとする現代社会の風潮が現れているのかもしれませんね。
しかし、若者よ。負けてはいけない。
真っ直ぐに成長して欲しいと先生は思うのです。






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へッ・・・心に響いたぜッ!
先生の特別授業ッ・・・




「うんうん、最近は東京湾の水質も改善してきて、
食材としてのボラを見直そうという動きもあるみたいだし、
俺も陰ながら応援しているぞッ!




よーしッ!みんなで
トド八先生を胴上げだぁーーーッ!!





(・・・・。)





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(あ、そのノリは鬱陶しいから他所でヤレ。)





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[ 2014/10/06 04:00 ] 釣魚料理メニュー ボラ | TB(0) | CM(22)

こんにちは。
・・・イイハナシダナー。
ボラ、釣り味も含め実力はありますからねッ、あとは偏見しだいですからねッ!
それにしても料理いつも美味しそうです!!アイゴに続きボラも食べたく・・・ボラならスーパーでも売ってんだよな。
[ 2014/10/06 12:18 ] [ 編集 ]

はじめまして

はじめまして。
まだまだ釣り初心者ですが、ジビエさんのブログ、いつも楽しく拝見しております。
ボラに対する偏見は私もあったかも。最初のうちは「なんか知んないけど、デカイの釣れた〜!」って喜んでましたけど、最近は「チッ!ボラはっかじゃんか」などと偉そうな事を言ってました。
ゴメン!ボラ君!(クサフグも)
[ 2014/10/06 19:47 ] [ 編集 ]

なるほど〜
ボラはせいちょうの暗示を持つスタンド的
アレだったわけですね

ボラーレヴィーアってな訳ですね

なんて良き話なのでしょう
目から汁が止まりません

食欲が刺激されます
楽しいお話ありがとうございます

[ 2014/10/07 04:56 ] [ 編集 ]

Re: 佐倉の山口さん

イイハナシ・・・ナノカー?

ボラはいいですよね!釣って良し、食べてよし。
何よりも身がたくさん取れる事がうれしいですw

そういえば、知り合いが『鯔は小骨が多くて食えん』と言ってましたが、
ボラは小骨なんてないんですよね?
何の魚と勘違いしたのやら・・・
[ 2014/10/07 07:48 ] [ 編集 ]

Re: 釣りたまご さん

はじめまして!私も釣りはまだまだ初心者ですw
ご一緒にLVUP!させて頂けましたらうれしいです!

アイゴとボラ、どちらも一癖あることから誤解のある魚ですね。
しかし!しっかりと向き合う事で、その真価を知ることができます!
釣りたまごさんも、是非、チャレンジされてみてください~
[ 2014/10/07 07:56 ] [ 編集 ]

Re: マキさん

釣りや狩猟で捕獲した動物を『マズイ』や『臭い』やら言う人がいますが、
動物たちは決して人間様を喜ばすために生まれてきたわけではありません。

食べるのであれば、一手間、二手間を惜しまずに、
食べないのならば優しくリリース。

ボラをバカにする人は、ボラに舌をかみちぎられちゃいますよ~・・・
ボラボラボラボラボラーレ・ヴィーアッ!

[ 2014/10/07 08:14 ] [ 編集 ]

興味を引く説明でしたw

ボラの特徴や良さが凄く分かりやすいですね。
勉強になります。
特に調理についてはいつか自分も試したいと思ってしまいますね。

先日生まれて初めて鯛釣りに行ってきましたが大物が釣れて捌くのに悪戦苦闘しました。
こちらでもっと勉強しておけばよかった・・・
[ 2014/10/07 21:51 ] [ 編集 ]

今回も笑わせていただきました!

こんばんは〜。
いつも楽しませていただいてます。

なるほど。
ボラとはそういう意味があるんですね〜。

私の地域での釣りの外道はウグイです。
意味はわかりません(笑)
このウグイ、なかなか面倒くさいやつヤツでして、誰も食べません。
海で釣れるのだから、食えなくはないだろうと、何とか食べてみようとチャレンジしましたが、やっぱり食えませんでした(笑)
ジビエさんみたいに創意工夫できたらウグイも浮かばれるんでしょうけどね〜私にはムリです(笑)

しかし何と言っても今回のバカウケは断然『ロゼ身』!
爆笑です!

でも1番衝撃を受けたのは、
ジビエさん…まだ20代なんですね。
意外に若い!( ̄▽ ̄)(失礼・笑)

[ 2014/10/08 00:46 ] [ 編集 ]

おひさしぶりでございます^ ^
今日ボラを釣った夢を見ました笑
あらいは身を一晩寝かせた方が美味しく出来るのですか??
[ 2014/10/08 09:35 ] [ 編集 ]

またまたコメントさせていただきましたァン

どっちの料理も美味しそうですね~
鯔なら俺でも釣れそうだから、今度釣ったら持って帰ってきてみるかな^^

前の料理の時は鍋にしても美味しいと書いてあったので
鍋が恋しくなる季節の前に一匹釣って料理してみたいです

コメ欄にジョジョネタが多くてボラ先輩が仗助に見えてきた^^;

狩猟料理界のトニオ・トラサルディー目指して頑張ってください!!(笑
[ 2014/10/08 17:56 ] [ 編集 ]

Re: キツネ さん

ボラの調理は比較的簡単ですよ~
釣れたら是非、チャレンジされてみてください!

お写真を拝見するとショアジグで鯛を釣られていますね~
最近はテンヤ、タイラバがほとんどと思っていましたが・・・結構珍しいのでは!?
船釣りの場合も船頭さんにお願いして鱗、内臓を取ってもらえれば
料理は楽になりますね。
[ 2014/10/08 23:19 ] [ 編集 ]

Re: 黎明 さん

ウグイッ!
調べてみると、色々と面白い魚の様ですね!
チャレンジしてみたいともいます!

ボラは決して白身ではないんですよね。
うっすらと赤みの入った・・・まさにロゼ色ですw

吾、未ダ学立ツ事知ラズのアラサ―です・・
[ 2014/10/08 23:24 ] [ 編集 ]

Re: ゆりさん

おおッ!それはきっとボラのお導きですよッ!

ボラの身も寝かせると旨みが増しますよ!
ただし、皮のヌメリはしっかりふき取って、
サクにおろさずマルのまま1日ばかし置く事をお勧めします。

ボラは身が比較的柔らかいので、サクの状態で保存すると
水分が抜けすぎてヘトヘトになっちゃいますw
[ 2014/10/08 23:29 ] [ 編集 ]

Re: ドラ さん

ボラは狙って釣ろうと思うと意外と難しいですよ~
釣れた場合は釣り場で内臓と鱗、ヌメリをできるだけ落としてくださいね!

ボラちり鍋は美味しかったですね~
何よりも小骨が無く、大量に身が使えて食べごたえがあるんですッ!
ただし汁物の場合は皮を剥ぐ事をお勧めします。

皆さんが元気になれる料理ができるよう腕を磨いていきたいです!
ただし手を洗わずにキッチンに入って来たら・・・許しまセーーーンッ!!
[ 2014/10/08 23:40 ] [ 編集 ]

今回の料理も美味しそうですねぇ(*´ω`*)

利根川水系や渡良瀬川水系の群馬県東部辺りだと、まだ鰡の棲息域らしいのですがこちらでは鰡料理って聞いたことがないので勉強になりました^^

そもそも釣りについても仕掛け、餌、時季等の情報がなく、唯一聞くのが鰡針による引っ掛け釣りだけなんですよね
こちらでも釣れたらトライしてみます
[ 2014/10/13 01:15 ] [ 編集 ]

胴上げの落ち、流石です!

アライに炙り!旨いでしょうね!
ずっと釣りたいのですがなかなか縁のない魚ですわ~
[ 2014/10/13 12:39 ] [ 編集 ]

あまりの衝撃についつい書き込んでしまいました


ボラを食べた?



嘘でしょ

嘘であって欲しい

許してください

そんな今日この頃
[ 2014/10/13 15:07 ] [ 編集 ]

「とどのつまり」のとどが魚の呼び名とは知りませんでした。
言葉と食文化は密接に関係しているということですねぇ。
外国でもよく魚を食べる文化のある国でもそういう言葉はあるのかもしれませんね。
[ 2014/10/13 15:17 ] [ 編集 ]

Re: グンマー さん

ボラは日本全域に住んでいると思っていましたが、北限は茨城あたりなんですね。

ボラは魚のくせに物凄く視力がいいので、釣り針はかなり小さくないといけませんね。
撒き餌も濁りを出すために『米ぬか』を大量にまきます。

もう一つの方法は『ギャング針』で引っかけて釣る事なのですが・・・
結構残酷な釣りなのでお勧めはできませんw
[ 2014/10/14 07:59 ] [ 編集 ]

Re: モンタナ さん

特にサヨリ狙いの時に、ビッタンバッタン大暴れされたら腹が立ちますw

ボラは集団で移動するので撒き餌を打たないとなかなか出会う事が
できませんね。
延べ竿でかかると物凄く面白いファイトができますよ~!
[ 2014/10/14 10:16 ] [ 編集 ]

Re: みか さん

おッ!ボラを勘違いされていますね~

ボラは和洋中はもちろん、サウジアラビア、エジプトなどの
イスラム文化でもよく用いられる魚です。
ただしボラを"muddy taste(泥臭い)"と感じるのは世界共通の様で、
料理法は香辛料をたっぷり使ったオーブン焼きやスモークが好まれるようです。

ボラ料理ッ!是非一度ご賞味ください!
[ 2014/10/14 10:27 ] [ 編集 ]

Re: TAD さん

ジャンボ尾崎のような、トップがぺったんこで襟足を長く伸ばした髪型は
『マレット(鯔)ヘア』と言います。
海外でもボラのイメージは力強いイメージがあるようですね。

また、フロリダ州の小さな漁港では毎年『ボラ祭り』が開催されているそうですが、
ジャンプするボラは『幸運』の象徴なのだとか。
一度行ってみたいですなぁ…ボラ祭り
http://mulletfestival.com/index.htm
[ 2014/10/14 12:34 ] [ 編集 ]

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