新江戸前 『アナゴのアヒージョ』

<釣り編はこちら!>


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マアナゴ
「夜釣りで嫌になるぐらい釣れる。」
「捌くのが面倒なのでリリースする。」

「ウナギの代用品。」


・・・など、
関東では未だに大衆魚のイメージ
が根強い魚ですが、
そんな話も今は昔。


 
なんとかっかんchoitojikuとtか  
実は国内のマアナゴの漁獲量は
ここ10数年で約1/3に大減少
東京湾産に至ってはほぼ壊滅しています。


減少の原因はウナギと同じくやっぱり『乱獲』ッ!?
・・・も理由の一つと言われていますが、

tokanriknaええnkokudeha

韓国や日本海側の漁場では、漁獲量はほぼ横ばいである事などから
東京湾で減少した原因は、近年の海水温上昇による
生物相の変化(レジームシフト)が原因ではないかと言われています。



『江戸前穴子』
と言えば、泣く子も黙る東京の郷土料理ですが、
ほぼ全てを輸入で賄うアナゴ料理
果たして今後も
江戸前と言い続けてよいものなのか疑問です。

伝統を守ることは確かに大切です。
しかし、既成観念に捕らわれず、
『新しい江戸前』を生み出していく事も重要だと思います。







よんだ

いえ。呼んでませんよ









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さて、そんな貴重な江戸前アナゴ。
捌き方は
ウナギと同様、まな板にキリなどで目打ちします。
包丁は胸ビレから入れ、背骨に当たったら尾っぽ側へ
刃を滑らすようにして開いて行きます。

『背開き』
切腹を連想させる腹開きを嫌った、
武家社会江戸前の料理法です。




アナゴを捌く際に気をつけるのは内臓を絶対に傷つけない事
海のスカベンジャー(掃除屋)と言われるだけあって、
トンでもない物が胃に詰まっていることがあります。




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そのため、
食道を強く押さえて一気に内臓を引き剥がし、
肛門周辺の肉ごと切り取って、
内容物が少しでも身に付かないようにします。




パンパンに膨らんだ胃袋・・・
内容物が気になるところですが、
酷いトラウマがあるため、素早く処分します。





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後は背骨を引いて完了。
いや~、それにしてもスンゴィ脂の乗りッ!
これは久しぶりに~・・・





『アナゴの刺身・浅葱巻き』!!

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う~むむむッ!!
やはり脂の乗ったアナゴの刺身は、
ヒラメのエンガワのような
濃厚な甘味!そして旨み!!
後に口の中に残る脂は
浅葱の爽やかさが緩和するゥ!!
やはりアナゴも脂が旨いッ!!




・・・しかし、

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江戸前では「ウナギは『脂』、アナゴは『身』。」

と言われるように、脂の乗った大型のアナゴは元来下手物。
珍重されるのは脂の乗っていない小型サイズ(メソ)です。

確かに、脂の乗ったアナゴを天ぷらにすると、
油を吸ってグテグテになり
焼きでは脂の落ちが速いため
スカスカになります。


そのため江戸前における大型アナゴは『煮アナゴ』に限られ、
染み出た脂は『ツメ』として添えるのが
絶対的なセオリー・・・



しかしッ!!
いつまでも
「江戸前!江戸前!」
言うばかりではいけません!
ここは先人が思いつきもしなかった
『新・煮アナゴ』
に挑戦してみましょう!!



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まず、アナゴの開きに熱湯を回しがけ、
固化した表面のヌメリをぬぐいます。



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アナゴの切り身に塩を少々、背骨を一欠片、
蒸かしたジャガイモ、粒のブラックペッパー、
唐辛子、潰したニンニクを全て耐熱皿に並べて・・・





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『オリーブオイル』をたっぷりと注ぎ、
180℃のオーブンで加熱します。





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煮アナゴ??
・・・ええ、そうですよ。
全く新しい煮アナゴとは『オイル煮』
!!

コツは揚げるのではなく、
ぷつ・・・ぷつ・・・と気泡が弾けるぐらいの
じっく~~りと
した熱をかける事!



完成ッ!『アナゴのアヒージョ』!!

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脂っぽいアナゴを油煮!?

油まみれでギトギトになりそうな料理ですが・・・




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意外ッ!全く油っぽくないッ!!

何故、油っぽくならないのか!?
実は
元々油分の多いアナゴの身は
油を吸収力する力は弱く、
揚げる様な強い熱を加えなければ
油はそれほど吸収されません。

また低温で煮る事により脂が流出しないため、
100%純粋なアナゴの脂の旨み
が残されるのです!!


さらに!オリーブオイルに溶け出した
アヒージョ(ニンニク風味)が、
アナゴの身を満遍なくコーティングッ!
そして
粒ブラックペッパー
のアクセントがたまらないィ~ッ!!

江戸には無かった『油で煮る』という手法、

これぞ正しく、NEW・江戸前!!



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ミンナニハナイショダヨ

アナゴの油煮!ジビエさんの固定観念に捕らわれぬ発想の転換、相変わらずお見事です!
実は当方も「誰かさんのブログ(笑)」に触発されアナゴ狙いでカニカゴを買ったのですが…残念ながらまったくの不猟となりました。
今後は当地の「生態系調査」の為に使用しましょうかねー?(笑)
勿論入った生き物は全て逃がしますよ?タベタリシマセンヨ?
ミツカラナイトコニシカケマスヨ?(笑)
PS.近年付け餌の 「サシアミ」が国内で採れなくなったそうで…やはり生物相の変化なんでしょうか?寂しい限りです…
[ 2014/12/18 08:00 ] [ 編集 ]

美味そう

ジビエさんの料理はどれも美味しそうですな~

鹿島でよく釣りをするのですが、釣れるのは鉛筆サイズのアナゴちゃんばかりで・・・

鹿島には美味しい食材(ヒラメ、イセエビ、カレイ)が釣れるというのに、俺の竿には掛かってくれません。グヌヌ

そして・・・なぜアナゴウィップにしたしwww
ムチを振るう度に
ブルァアアアだのフグ田くーんとか喋りそうで怖いですw
[ 2014/12/18 17:52 ] [ 編集 ]

Re: 槍のナガサKIさん

なんとッ!カニカゴの使用は違法ですよ!!
しかし、国会議員も『うっかり』政治資金で60万円分もネギを買ってしまう世の中です。
槍のナガサKIさんも、お部屋のインテリア用に購入したカニカゴを
うっかり夜の海に落としてしまわれないように十分ご注意ください!
ちなみに満潮からの下げ潮時にカニカゴが岸と平行かつ、海底と水平になるように着底すると、
アナゴが入ってきやすくなってしまいます!
もちろん、そのアナゴがうっかり口の中に入ってしまわないようにお気を付け下さい!!

今年はナンキョクオキアミが大不漁だそうですね~。
しかし、ああいう生物は増減するのが自然の理ですので、
回復するまで新しい釣法に挑戦されてみてはいかがでしょうか?
私の釣りの先生も言ってます。
「サシアミがなければ、フナムシを使えばいいじゃない!」
[ 2014/12/19 10:19 ] [ 編集 ]

Re: ドラ さん

ありがとうございますw

おや?イセエビやヒラメだけが美味しい食材ではありませんよ~。
例え小さな鉛筆アナゴでも料理法によって驚くほど進化します!
獲物と出会い、持てる料理技術とアイデアを持って味の世界を探求する、
これぞ『キャッチ&イート』の至高の楽しさだと思います!
身近にある『土』ですら実は食材になるんですよ~
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%9F_%28%E9%A3%9F%E6%9D%90%29

ちなみに、僕の好きな若本はニニンがシノブ伝の音速丸です。
[ 2014/12/19 10:45 ] [ 編集 ]

初めまして

いつも楽しく読ませていただいてます

ちなみに酷いトラウマってなんですか?w
[ 2014/12/19 11:36 ] [ 編集 ]

胃の内容物が気になります…(>_<)

いつも楽しく拝見しております。

胃の内容物、気になりますね。
穴子は腐食性ということだから、うっかり開いてしまうと台所中に匂いが蔓延し、かつ染み付いてしまうのでしょうか?

今後とも更新楽しみにしております。
[ 2014/12/19 12:36 ] [ 編集 ]

ゴリラパワー、キンジラレタチカラッ

つ、土は食いたくないなぁ・・・^^;

適切な処理をしないと恐ろしいことになりそう。

音速丸ですか・・あのはっちゃけたキャラクターを違和感なく完璧に演じる
若本さんすごいですね
アニメ化の話が上がった時に音速丸の声優、誰にするんだろうと思ってましたがww

[ 2014/12/19 16:35 ] [ 編集 ]

おっ!?
旨そうだ
穴子をアヒージョにしようなって考えたこともなかった。勉強になります!

やっぱ穴子は江戸前が美味しいです。
[ 2014/12/19 18:41 ] [ 編集 ]

Re: ガンハンドさん

初めまして!
いつもご覧いただき誠にありがとうございます!

トラウマ・・・・
アナゴは腐肉食性が強いうえに『食溜め』をするので、
おなかの中に何が入っているかわからないんですよ・・・。

昔、腹がパンパンになっていたアナゴを捌き損ねて
腸を傷つけた時、大量のカタクチイワシの残骸と
腐敗した青物に臭い・・・うぎょぉーーー!!
[ 2014/12/20 10:17 ] [ 編集 ]

Re: 110itoさん

初めまして!
こんなブログですがご覧いただき誠に誠にありがとうございます!

その通りですね~
アナゴは腐肉食性なので腹を破いたら臭いがとんでもないことになります・・・
腹がパンパンのアナゴは死ぬと内容物が腐って身も汚染されるため
商品価値が付かない事もあるそうです。

[ 2014/12/20 10:29 ] [ 編集 ]

Re: ドラ さん

ネコやイヌが整腸のため草を食べたり、
草食動物が不足した塩分を得るために肉を食べたりするように、
本来『食』と言う行為は、本能的に感じる欠陥を埋めるための行動だと言われます。
キャッチ&イートという趣味、おそらく現代社会においてヒトが無意識に感じる
日々の焦燥と渇望を埋めるための行為なのだと感じます。

ところで、アナゴさんと言えば若本さんを連想しがちですが、
実はァ~、初代アナゴさんの声優はァ~、
『旧ジャイアン』と同じなんだぞォっとぉ!!
[ 2014/12/20 10:48 ] [ 編集 ]

やんま さん

アヒージョ。
ただ油で煮るだけの簡単な料理と思いきや、
下手に高温をかけて食材の水分を抜いてしまうと
油でベッタベタになっちゃうんですね~・・・

素材の旨みを一切逃がさず、ニンニクやスパイスの風味を
万遍なくコーティングする。
江戸前と同じく、すごく洗練された料理法ですよね~!
[ 2014/12/20 10:52 ] [ 編集 ]

初めまして

いつも楽しく読ませていただいております
穴子のお刺身美味しそうですね。
刺身や天ぷらを作る際、小骨の処理はどの様にされていますか?
以前、刺身を作ってみましたがかわいそうな事にになってしまったので…
猪や鹿の料理の更新も楽しみにしています。
[ 2014/12/21 10:40 ] [ 編集 ]

NEW・江戸前!!
良いですね!

アナゴが釣れたら真似してみます♪
[ 2014/12/21 12:25 ] [ 編集 ]

Re: いくえい さん

初めまして!
いつもご覧いただき誠にありがとうございます!

アナゴにも肉間骨(小骨)はありますが、
ハモほど固くありませんので骨切りは必要ありません。
包丁を極力寝かせて薄く削ぎ切りにすれば、食感は気になりませんよ~。

また脂が強い大アナゴの刺身は、刃幅の狭い包丁(刺身包丁)でなければ難しいです。
もしこのような包丁がなければ、事前に包丁を熱湯で温めておくと捌きやすくなります!
[ 2014/12/22 15:42 ] [ 編集 ]

Re: モンタナ さん

New江戸前料理と言うと、映画『ブレードランナー』に出てきた
『2つで充分ですよ丼』をなぜか思い出します。

アヒージョは色々な材料で作れて面白いですね~w
ただし、アナゴのような柔らかい食材は強火をかけてしまうと
油を吸ってグデグデになってしまうので注意してください!
[ 2014/12/22 15:52 ] [ 編集 ]

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