シカは不味くて美味いもの 『鹿肉のシャリアピンステーキ』

<前編はこちら>

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『鹿肉』
美しく引き締まった赤身!
イノシシと双角をなす、憧れだったジビエ!!




・・・・なのだが、






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美味しくない。
とにかく『固い』、そして『旨みが無い』!
もちろんジビエは家畜に比べて肉質が劣るのは当然ですが、
この食味を何と表現したらよいものか・・・


あ、そうだ。


もし皆さんのお手元に『ティッシュペーパー』があれば、
それを噛んでよく咀嚼してみてください。

そう、その味!







(おのれぇ~・・・見た目にすっかり騙されていたが、

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こいつ、とんだ曲者じゃないかッ!!)






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(煮ても焼いても美味しく料理できない鹿肉・・・
もはや、こいつを制御するには、
最終手段『カレー』しかないのかッ!?)











まだ、最終手段に出るのは速いわよ。



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「んッ!?あ、あなたは・・・!!




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「アルテミスさん!」




随分と困っているみたいね?
何かこの子に問題があるの?




「いや~・・・どうにもこうにも。
鹿肉が全然美味しくないんで困ってるんですよ。
去年の失敗も踏まえて、しっかりと熟成させたのにな~・・・。」




熟成?




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ほら、去年のイノシシの時に
熟成(エージング)の大切さ
教えてもらったじゃないですか!
だから鹿肉もしっかりと熟成させたんですよ!





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しかも今回は『吸水シート』を使いました!
クッキングペーパーは直ぐに水を吸わなくなりますからね~。

このおかげで、腐敗を起こさずに1週間も熟成できたんですよ!!
見てくださいよ!この引き締まった肉をッ!!



・・・・・。






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さらにですね~、なんか肉から『血』が大量に出てきたので
一度水に晒して血抜きをしておきました!
これで臭み対策もバッチリです!!


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しかし・・・
ここまで手間隙をかけたのに、
鹿肉が全ッ然ッ!美味しくないんですッ!!

ひょっとしたら鹿肉ってこういうもんなんですかね?
どうりで皆、あまり持って帰りたがらないわけですよ!


ちょっと待ちなさい!
色々と突っ込みどころが多いわよ。






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まず熟成の方法だけど、確かに水分をよく取ることは
腐敗を抑えるために大事よ。でもこの鹿肉、
肉汁まで吸われてシナシナになってる
わよ。これだと
旨みが無くパサパサした食感になるのは当然よ!


 
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それと、鹿肉から出る赤い汁は
血液じゃなくて組織液(ドリップ)。
旨みの素であるドリップを水にさらして抜いちゃうなんて、
マグロの刺身を水で洗うようなものよ!



「ううむ・・・
イノシシの時は、これで美味しい熟成肉ができたのにな~・・・。」



シカも熟成で旨みを増すことができるわ。
でも、その方法がイノシシとシカで同じというわけではないのよ!
ちゃんと鹿肉に応じた、適切な方法を考えないとダメじゃない!


べー4だ
 
 

「そんな事言われても、
鹿肉の事なんて全然わからないですよ!
イノシシならブタ肉と比較ができるけど、
鹿肉は牛とも豚とも違いますし・・・。」





まぁ確かにその通りね・・・でもそれなら、
鹿肉の本質を知る、簡単で確かな方法

が一つだけあるわよ。




「えッ!?
いったいそれは・・・!?」





それは・・・









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プロの料理を食べるのよ!






「むゥッ!!」


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な、なんだ、この旨みはッ!!
噛むとジュワァ~・・・とにじみ出てくる肉汁ッ!

この旨み・・・
牛肉とも豚肉とも全く違う・・・
ううう・・・適切な表現が見つからない・・・
あえて言うなれば、

『人間性を管理する大脳新皮質
ではなく、原始的な欲求を司る
脳幹が生物的な満足感を感じる
旨み!!』


この旨みに名前をつけるとしたら
・・・そう、これは『鹿味』




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「ん?この料理も・・・鹿肉?」




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こちらは『鹿肉のテリーヌ』です。
テリーヌにはパイと、鹿のフォンを使ったジュレを挟んでおり、
鹿の血を隠し味に加える事で、僅かなワイルドさを出しています。



(うッ!?鹿肉ってココまで精錬されるものなのかッ!?
俺の持っている本質とレベルが違いすぎるッ!!)



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「あ、あの~、すいません。」



はい、何かご用でしょうか?


「実はですね、カクカクシカジカな理由で
鹿肉のドリップが抜けちゃったんですが、
何かいい料理方法を御存知ありませんか?」



左様ですか・・・
では、
このようなお料理はいかがでしょうか?




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まず、みじん切りにしたタマネギ1玉を、
すりおろしたニンニク1欠けと共に鹿肉に漬けて、
冷蔵庫で1日寝かせます。




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次に、多目のバターで鹿肉を焼きます。
通常、鹿肉は強火をかけると筋繊維が固くなるため、
ゆっくりとトロ火で『温める』ように焼いていきます。

ただし、今回は初めからドリップが抜けているので
中火でザッと焼いていきましょう。




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ある程度火が通ったら、アルミホイルの上で肉を休ませ、
肉を焼いたフライパンに、漬けに使ったタマネギ、
醤油大さじ2、酒大さじ2、みりん大さじ1を加えて煮詰めます。



鹿肉を一口大に切り、
ソースを添えたら完成ッ!

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『鹿肉のシャリアピンステーキ』!!






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これはッ・・・あの固かった肉がまるで
タタキのように柔らかいッ!!
しかも、あのスカスカだった旨みも、
バターの風味、たまねぎの甘味をしっかり吸い込んで
これはまるで牛肉・・・いや、ただの牛肉ではないッ!
高級和牛の赤身肉
のような食味に変身しているッ!!




鹿肉は元々脂が少ないため油との親和性が高く、
特にバターとの相性が抜群です。またシャリアピンソースは、
タマネギの持つタンパク質分解酵素で肉を柔らかくします。
このように、鹿肉は下処理や焼き方だけではなく、
他の食材の影響を強く受け、食味が
全く変化します。
自由な料理が可能な事から、
『鹿料理は一生』
とも言われるんですよ。



・・・ただ、鹿肉が普及しないのは、この自由さが原因だったりします。
牛肉や豚肉は、どんな料理法でもある程度のレベルになりますからね。
鹿肉をより多くの人に知ってもらうには、鹿肉の味よりも、
食材としての楽しさを理解してもらう必要があると思います。





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どうだった?手探りで料理を探究するのもいいけど、やはり
プロの料理を食べてみる事は一番勉強になるわ。
特に東京は世界中からあらゆる料理が集まってくるからね。
勉強として舌を鍛える事も重要よ!



「はい、特にジビエ料理は捕獲するところから始まりますからね~・・
正に無限の可能性がある世界ッ!
あらゆる味の引き出しを持っておくことは大事ですね。」





今日の経験が活きて、
あの子も少し成長したんじゃない?





おーいよいよい

「・・・ま、まぁ、とにかく今日は本当に勉強になりました!!
是非また連れて来てくださいね!!」



あんた、自分の稼ぎで来れる様になりなさいよ。




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ブラボー!…おお、ブラボー!!

シャリアピンステーキ!!
いいですねー、是非とも次回試さしていただきます!
鹿肉は一生モノの研究が必要とは…ますますやりがいのある食材ですね(^_^)


…ところで、鹿肉に限らず野生肉を食べ続けていると体臭がキツくなるような気がするのは当方だけでしょうか?(^_^;

「リアルアルテミスさん」、素敵な女性です♪
ジビエさんも体臭で嫌われたりしないよう、お気をつけください(笑)
[ 2015/01/26 03:36 ] [ 編集 ]

k

油が少ないなら燻製に合いますね
[ 2015/01/26 17:34 ] [ 編集 ]

最近読んだシカの本に、フライパンで焼きながら熱したバターを上からすくってかけ続けるなんて料理法が載ってましたよ。

昨日、初めてイノシシと遭遇しました
見えたのはいいですが、竹と木に阻まれて撃とうか迷う内に見失い、結局仲間が撃って外してどっか行っちゃいました。
位置取りも考えないとですね

その前の日に捕ったイノシシのなんですが、精巣もらって食べました
ホント、魚の白子に近い味ですね。加工中のビジュアルのグロさにドン引きしましたが(笑
[ 2015/01/26 21:55 ] [ 編集 ]

バターですか~
まだ品薄気味で、近所のスーパーだとちょくちょく売り切れてたり、
お一人様1個限りとかやってます。

単に、熟成ではだめなんですね・・・
[ 2015/01/26 22:07 ] [ 編集 ]

Re: 槍のナガサKI さん

タマネギと同じ効果は、以前教えていただいたパイナップルや
リンゴでも可能ですね!

牛や豚肉が料理の世界のツアー旅行だとしたら、
鹿肉はバックパッキングの旅のようだと感じます。
トンでもない経験をするかもしれませんが、ツアー旅行には無い
自由な出会いが待っているのかも知れません。

ん?体臭ですか?あまり気になったことはありませんね~。
ただ、とある女性に「なんかソラマメみたいな臭いがする」
と言われたことがあります。
これって脈ありですかね(^^)v
[ 2015/01/26 22:56 ] [ 編集 ]

Re: kさん

燻製はですね~、一度食べたことがありますが・・・
『マジ旨ッ』ですよ!ビーフジャーキーなど比になりませんッ!
ドリップが抜ける前に水分を飛ばして旨みを凝縮するため、
噛むごとに鹿味がにじみ出ますッ!
是非、鹿ジャーキーを食べてみてください!!
[ 2015/01/26 22:58 ] [ 編集 ]

Re: らじぺん さん

フランス料理の『アロゼ』と言われる料理法ですね!
熱したバターをかけることで、油を吸わせながらも
じっくりとした熱で鹿肉を焼き上げることができるそうです。

おおッ!遂にイノシシとファーストコンタクトですね!
ちなみに現在私の猟果は・・・・うぅ。

イノ玉w
魚の白子のようでなかなかの珍味なのですが、
どうも個体差が激しく、場合によっては臭いがキツイそうですね・・・
あのニョロニョロは結構グロテスクですよね~w
[ 2015/01/26 23:04 ] [ 編集 ]

Re: EYW さん

バターはまだまだ品が薄いですよね~・・・
しかし、オリーブオイルを使っても同様に美味しいですよ!
イノシシラードがあるので、これと合わせてみても面白そうですね。

鹿肉は保存が難しいですね。
放っておくとドリップがドンドン抜けていきますし、
冷凍しても解凍が悪いと萎びてしまいます。

一番旨みを閉じ込める方法は、意外にも『燻製』だったりするのですが・・・
このお話はまたいつか。
[ 2015/01/26 23:13 ] [ 編集 ]

シャリアピンも美味しいですよね。
玉ねぎもいいですけど、塩麹にマリネすると柔らかくなるし、酵素で旨味が増しますよ~

それと、ステーキにするときは低温で焼くのはもちろんですけど、その前に袋に入れて40度位まで湯煎して肉が生きている時の体温くらいまで上げてから焼くと良いです。面倒かもしれないけど、この一手間で味が違います。
[ 2015/01/26 23:15 ] [ 編集 ]

グンマー

ジビエ料理のお店、行ってみたいですねぇ
消費地には結構あるのに生産地にはほとんど無いのが悩みどころ、こっちにもオープンしてくれないですかねぇ

鹿肉は前からなんどかポットローストやカレーにしてましたが、どうしても肉の奥のパサつきが出てしまっていたのは加熱過多とソースの油分不足だったんですかねぇ
これって漬け込む段階でオリーブオイルと一緒にしてしまうというのもパサつき防止には効果あるんでしょうか?

[ 2015/01/26 23:20 ] [ 編集 ]

Re: やんま さん

塩麹!その手もありましたね!!

おおお!!40℃に暖めておく話、初めて伺いました!!
鹿料理に興味が無い人に鹿肉の焼き方の話をすると、
「またまた、そんなに通ぶっちゃって~」と言われますが、
実際に食べ比べてみると焼き方で雲泥の差があるんですよね~
情報を誠にありがとうございます!次は是非挑戦してみたいと思います!
[ 2015/01/27 22:34 ] [ 編集 ]

Re: グンマーさん

プロの方に伺ったところ、ドリップを保持したまま鹿肉を焼く熱は『90℃』だそうです。
なかなか素人には難しい調整ですが、例えドリップが抜けてもソースや下味を工夫する事で
本来の鹿肉とはまた違った食味を楽しめるのだとおっしゃっていました。
下味にはオリーブオイルでも大丈夫ですが、やはりバター、もしくはラードなどの
動物性の脂が鹿肉にはよく馴染むようですよ!

超高級の鹿肉が沢山使えて、色々実験ができるのはハンターの特権!!
是非、『これは美味い!』というレシピが完成したら教えてください~
[ 2015/01/27 22:49 ] [ 編集 ]

おお素晴らしい!

次は、雌鹿をゲットしましょう^^
ワインで漬ける方法もありますが、日本酒とも相性が良いようですね。
ちなみに、酒粕も使えるのかなぁ・・・
[ 2015/01/31 23:03 ] [ 編集 ]

Re: 中村 さん

ありがとうございます!
鹿肉はシンプルな分、料理の幅が広く色々な料理が楽しめそうですね~
買えば目玉が飛び出すほど高い鹿肉を、しこたま使って楽しめるのは
正にハンターの特権ですね~w

酒粕・・・西京焼きみたいになりそうですねw
[ 2015/02/02 21:36 ] [ 編集 ]

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