『猟師』で稼ぐッ!凄腕エンジニアがジビエを作る


<前編はこちら!>

駆除活動1
前回、農業法人が独自に『有害鳥獣駆除活動』を実施すると、
猟友会の負担減少や行政の支出減少など
も含め、様々なメリットが
あると述べました。
猟師も狩猟でお金が稼げる!
やったね万歳ッ!



・・・でも、チョット待ってください。



果たして猟師は有害鳥獣駆除活動だけで
生活ができるのでしょうか?





現在は猟友会の駆除隊が休むまもなく出動されているように、
有害鳥獣の数が多いです。しかし、農業法人が主体的に取り組みだすと
農業被害は減少します。
農業法人としてはそれでOKですが、猟師は
働けば働くほど
狩猟の仕事が少なくなるパラドックス
です。



本当に売れるの

そこで猟師は有害鳥獣被害が無ければ他の仕事を回される事になります。
これではタダの兼業農家です。
果たして猟師は、有害鳥獣駆除以外で稼ぐ道は無いのでしょうか?

またそもそも、駆除した動物の肉って商品にできるのでしょうか?






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まず有害鳥獣駆除の商的利用について、結論から言うと可能です。
数年前までは全て埋設処理していた有害鳥獣ですが、
近年、自治体主導で食肉として有効利用する動きが活発化しています。


公共事業
駆除で捕獲した動物は
食肉処理業の認可を受けた施設に運ばれ、
ガイドラインに従って加工されます。
以前、市営の『有害鳥獣加工施設』を見学した事がありますが、
このような施設は全国各地に増えてきているようです。



ハンティング倶楽コピー
このような施設が自治体に無い場合は、農業法人が独自に設置する
事になります。
6次産業化した農業法人はすでに食品加工業を行って
いるので、役所とのやり取り等は問題ないでしょう。
どんな設備を揃えてくれるかは、農業法人のフトコロ事情によります。

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あ、ちなみに
私が見学した加工処理施設は、
1億700万円かかったそうですよ。


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いえいえ、大丈夫です。あそこモデル施設ですからね。
実際はアイデア次第でいくらでもコストダウンが可能です。



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例えば私の猟友には、古民家を改造
た加工施設を自分達の
手で作ろうとしています。
まだまだ準備段階ですが、この施設には
彼らの猟師としてのノウハウが多数詰め込まれており、
設営費用もかなり低く抑えられています。


ハンティ コピー
ん?そのノウハウがどんな内容か気になりますか?
それはですね・・・・







教えません

・・・いえ、決してイジワルで言っているわけではありません。
なぜならこの猟師のノウハウこそ
『猟師』で稼ぐ!第2のビジネス、

『野生肉加工のエンジニアリング』だからです。


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猟師と言うと野生動物を仕留める技能者的なイメージですが、
実際は、野生動物を衛生的な食肉に加工する知識と技術を持つ

『技術者
(エンジニア)です。


同船リスク

例えば、捕獲場所から施設までの動線設計、運搬方法、鮮度維持、
病変、感染症等の確認・・・などなど、
捕獲した野生動物を商品として
扱うには、
猟師の技術力が必要になるのです。



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さて、これで猟師は技術力を収入に替える仕事を手に入れました。
一方、農業法人は野生肉を商品にする準備ができました。
「よぉ~し、早速『精肉』にして販売だッ!」




いえ・・・野生肉(ワイルドミート)は、
牛や豚肉と同じ商品戦略ではいけません。


牛肉豚肉
効率的かつ安定的に生産できる畜産肉に対して、狩猟活動で
手に入る野生肉は
5倍以上値段が高くなります。
また食品市場では、知名度の低い商品はなかなか手にとられない
消費者心理が働きます。

農業法人は消費者が何とか手を出してくれる商品
開発しなければなりません。

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そこで、ほとんどの野生肉は『調理済み食品』になります。

「自分で料理は嫌だけど、料理になってたらなんか
食べてみたくなる」
・・・コレもまた消費者心理。
高級果物や高級魚が、
カットフルーツやお刺身で販売されるのと同じ
商品戦略です。


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この流れは、2次産業を持つ農業法人にとって好都合です。
もともと持っている野菜加工食品のノウハウに食肉が加われば
商品のレパートリーは爆発的に増える上、『ジビエ料理』という
アピールポイントまで付けられます。

全国各地の農業法人はこぞって地元野菜を使ったジビエ商品
を開発していくことになります。
「さぁ~!どんどんジビエ料理を販売しようッ!」




・・・しかし、このまま無節操にジビエ商品が乱発されると、
『ジビエと名が付くだけで消費者が嫌がる』、
そんな最悪の未来が待っているかもしれません。


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野生肉には、必ず品質に『バラつき』が生じます。
畜産業が品質のバラつきを抑えるために、血の滲むような
努力と投資をしている事を思えば仕方のない事です。



 
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しかし多くの消費者は、この品質のバラつきは『不衛生』から来るもの
だと勘違いします。
食品における不衛生感は爆弾のような物で、
何かの拍子に火が付くと
商品価値は暴落します。
食品への異物混入事件など、前例はいくらでもあります。

ちなみに最近、行政が口酸っぱく「ジビエの生食はするな!」
と言っていますが、あれは食中毒を起こされると、これまで
苦労して作り上げてきたジビエのイメージを崩壊させるからです。
「自己責任だから(笑)」ではありません。




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そこで必要となるのが、ジビエ食品の『認証制度』です。
全国共通の品質管理基準を設けて、
この認証を受けた商品は安全
である事を
消費者に徹底的に刷り込みます。



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実はすでに、ジビエの認証制度は各自治体で始まっているんです


・・・が、

はっきり言って、これではダメです。


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先にも述べたように、現在の日本ではジビエという言葉自体ほとんど
認識されていません。そんな未成熟なマーケットで各々のイメージ戦略を
打ち出しても消費者はただ混乱するだけです。

今必要なのは
『安全』、これだけだけに的を絞った
統一ブランド戦略です。
差別化競争は市場が十分に成長してからでないと元も子もなくなります。






では、この統一ブランド、
いったい誰が
認定審査員になるのでしょうか?

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言うまでもなく猟師です。
ジビエの品質と安全性は捕殺した瞬間から始まります。
最上流の行程から指導、評価、認証ができるのは、
技術者である猟師にしかできません。


ちなみにこの流れは普通の技術者でも同じです。
長年経験を積んだ技術者は、
国家資格の『技術士』を取得し、
『エンジニアリング・コンサルタント』になります。
長年経験を積んだ猟師も
『猟士』となり、農業法人に対する
コンサルティング事業を行う事になります。



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コンサルタントともなると、様々な相談を受ける事になります。
有害鳥獣駆除活動や生産管理、品質保証意外、商品開発、
マーケティング、農業の輸出が活発化すれば海外市場など、
極めて高い専門性が求められます。


ところで↑と似たような話、
製造業(2次産業)ではよくある問題なのですが・・・
皆さんならどのようなアドバイスをしますか?



ドッグフードに加工したり、肉のランク付けで商品価値を落としたりと
現在色々な解決法が試されていますが、
私ならそうですね~・・・・

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市場を分けますね。
基本的には同じものですが、品質の違いで市場を住み分ける・・・
レクサスマークXみたいな感じです。

品質にバラつきが生じるのが本質的な問題ならば、
ここは短所を長所に変えていくしかありません。
幸い日本には、猪肉を牡丹(ぼたん)、鹿肉を紅葉(もみじ)と呼ぶ
『百獣(ももじ)食文化が元々存在します。
ジビエ(フランス料理風)のイメージでは活かせないクセの強さも、
山賊テイストなワイルドな味付けと見た目
消費者は案外すんなりと受け入れてくれるのではないでしょうか?





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さて、これで猟師は農業法人における技術職を手に入れました。
また猟師は、己の技術を極めれば
『猟士』として
コンサルタントとして独立することも可能です。

収入も大きく伸び、社会的にも安定した職業に!
猟師で稼げる時代が来たぞ~ッ!



・・・でも、
ま~~だ、イマイチ、猟師の存在意義が薄いです。
農業法人は猟師がいなくても、野菜ビジネスでやっていけますが、
猟師は農業法人が居なくてはビジネスが成立しません。
つまり、
農業界と狩猟界は雇用関係です。

う~ん・・・
『狩猟が利益を創出する新ビジネス』

があればいいんだけどなぁ~・・・













・・・あります。

次回、『猟師』で稼ぐ!第3のビジネス、

狩猟ビジネスにおける最重要かつ
現在の狩猟界をひっくり返すような話です。



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[ 2015/03/07 21:00 ] 狩猟ビジネス | TB(-) | CM(-)