”マ”はダテじゃない!『マガモのつみれ汁』

<狩猟編はこちら>

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数あるカモ類の中でも、とりわけ味が良いことから鴨の王とも呼ばれるマガモ
もちろん食味だけではなく、きらめく青いストライプの翼鏡や黄褐色に縁取られた羽毛など、
その美しい姿も大きな魅力です。


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もし、ハンターが肉を食べるためだけに動物を仕留めるのであれば
マガモの肉と家禽であるアヒルの肉には大差はないでしょう。
しかしその獲物の美しさを思い出しながらその味を楽しむことは、
ただの食事ではない、芸術的な輝きを持つ楽しみだと僕は思っています。





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「そんな考え理解できない!」
と、よく反論を受けますが・・・・
まぁ、芸術というのは万人に理解されるものではありませんしね。








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さて今回は、以前解説しました内臓摘出した後の解体方法について、
もう一度おさらいをしてみましょう。



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まず背を表にして背骨に沿って縦に、
足の付け根に沿ってぐるりと一周切り、十字型の切れ込みを入れます。



7解説鳥の関節

上身は大きく5つのの骨格で構成されており、
これらの骨は一つの大きな関節で繋がっています。
よって、上身(胸肉、手羽)と下身(モモ肉)を分離するためには、
ここの大きな関節(図中の緑)を切断する必要があります。




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関節を切断するために、切れ込みの交点に包丁の先を入れて、
肩甲骨に沿って首方向に刃を滑らせます。



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すると肩甲骨と上腕骨を結ぶ関節に突き当たるので、
周りの筋を切って関節を外します。




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次に肩甲骨の下側(肩甲骨と肋骨の隙間)に包丁を入れて、
癒着している肩甲骨を切り離します。






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この状態で胸側の肉を背骨を持ってバリっと引き剥がすと、
上身と下身を分離することができます。



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写真の通り下身には背骨と肋骨が、
上身には胸骨、肩甲骨、鳥口骨と手羽が付いた状態になります。



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次に、鎖骨の周りに包丁を入れたら鎖骨を上方向に引き上げて抜き取りましょう。




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鎖骨は別に取り外さなくても問題ありませんが、
胸肉と手羽を切り離す邪魔になるので先に処理しておきます。
丸鳥料理を作る際もこの鎖骨(フルシェット)を先に外しておけば、
肉の切り分けがしやすくなります。




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鎖骨を外したら胸骨の中心線に沿って包丁を入れて、左右の胸身を分離します。






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このまま下方向に胸身を引っ張ると、胸骨と胸身+手羽に分離できます。
胸身と手羽は筋でつながっているので、骨に沿って包丁で切り離します。
なお、胸骨に残った肉は『ささみ』です。



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さて、今回の料理はこの胸肉
・・・ではなく。
取り外した骨から抽出した出汁です。



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ガラから出汁を取る際のコツは2つ。
ひとつ目はじっくり時間をかけること。
ふたつ目は極弱火で煮出すことです。

「ちゃっちゃと強火で煮出せばいいじゃん!」

と思われるかもしれませんが、強火にかけると灰汁が浮いてしまい出汁に雑味がでます。
かと言って灰汁を取ってしまうと同時に風味まで掬い取ってしまい、
風味の少ない、良い言い方をすれば『上品な味
に落ち着いてしまいます。
そこで鍋の中が暴れないとろ火で長時間に込むことで、写真のように灰汁は沈下し
旨みだけが抽出されたスープになるのです。



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なお、骨に付いた血は洗い流してはいけません。
日本人には嫌われる『血』ですが、ここからも上等の旨みが抽出できます。
ただし、熱で固まった血自体はレバーのような臭味を持つため、
スープに混ざらないように沈下させなければなりません。
 

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スープを抽出するには少なくとも3時間は煮出しましょう。
その間、カモの胸肉に薬味のネギ、生姜の絞り汁、塩、小麦粉を少々加えて、
つみれを作ります。




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カモ出汁を丁寧に濾したら、シイタケを加えて再び加熱します。
沸騰寸前で火を落し、匙につみれを掬ったら出汁に落します。





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季節の野菜を加えてサッと火を通し、蓋をしたら完成!
これぞ究極!『マガモのつみれ汁』!



さぁ~、出来上がりはどうかな~?






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ふおおおおおおおおお!!!
こ、これは美味いッ!!
いや、まだ一口も食べていないのだが
この香りッ!

香りが『美味い』ッ!!



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蓋を開くと飛び出す濃厚で芳醇なカモ出汁の香りは
一瞬にして拡散して部屋をエデンの園と化すッ!
そこに浮かぶは美味さの具現
金色に輝く汁に浮かぶつみれの姿はまさしく
天使ッ!



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これまでの人生で、数多の鴨を食べてきた。
もちろん家禽のアヒルも食べた。
しかし・・・このマガモの味、特に出汁の香り。
それは何ものにも代え難い、
大自然より賜りし食の芸術なり。





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鳥のジビエを食べ比べしよう!
👉オススメ:鍋物ならフグもいいよね


[ 2016/12/19 01:19 ] ジビエ料理メニュー マガモ | TB(-) | CM(2)

さて今回は、以前解説しました内臓摘出した後の解体方法について、
もう一度おさらいをしてみましょう。
のところ、リンクミスしていますよ。
[ 2017/01/05 13:40 ] [ 編集 ]

Re: きのこ さん

ご指摘ありがとうございます!
リンク修正しました~
[ 2017/01/09 22:27 ] [ 編集 ]

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