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<エゾジカ猟編はこちら>
(それにしてもエゾジカを3頭も捌いたら、すごい肉の量になるな。)
 | ん?持って帰るのはそれっぽっちか? せっかくだからもっと持っていきなよ。
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「いや~、地元に持って帰りたいんですが、 それまでに保管しておく冷蔵庫がいっぱいで・・・。」 | 冷蔵庫? そんなものなくったって、 保管できるところなんていくらでもあるじゃないか。
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 と、いうわけで。 肉は貸家に併設されたプレハブの中で保管しておくことに。
それにしても、いいね!北国は! 特に浦河町は冬場でも気温が+2から-10℃程度と安定しており、 肉が凍りつくこともないので安定して肉を熟成することができます。
ただ・・・
見た目がヤバいな。 一般人から見ると狂気の館ですわ。 | 別に肉を吊るしておいても問題ありませんが、 なるべく他人に見られないように 気をつけてくださいね~。
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 | ところでジビエさん、 エゾジカをどうやって料理されるんですか?
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「う~ん、まぁ無難なところで煮込み料理ですね。 玉ねぎに一日漬けたシカ肉をたっぷりの赤ワインで煮込むと 柔らかくておいしいですよ。 あとはモモ肉をローストにするぐらいだけど、ありきたりだし・・・ なんか変わった料理ないかなぁ?」
 | 実はですねぇ、隣町の新ひだか町に エゾジカのオイシイ料理を出してくれる お店があるんですよ。 良ければいってみませんか?
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「お、いいですね。いきましょう!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「ここがそのお店ですか?」 | はい~! 日高地方の名産をたっぷり使った 創作料理が楽しめる『あま屋』さんです。
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 | そしてこの 『エゾジカのトマトしゃぶしゃぶ』が ここの名物なんですよ!
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「え、エゾジカのトマトしゃぶしゃぶ!?」 | まぁ!まずはいろんな料理をご賞味ください!
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「この、お猪口に入っているのはなんですか?」 | これは日高昆布の出汁ですね。 まずはこの出汁で口の中をリフレッシュ してください。
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「ふ~む。日高昆布。 ・・・昆布はあまり馴染みがないんですが、美味しいですね。」 | やっぱり高知で出汁といえば カツオなんですか?
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「そうですね。 あと、生まれと育ちの福岡では、 イリコやアゴですね。」
 | イリコ?アゴ?
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「ああ、イリコは普通の煮干し、アゴはトビウオですよ。」  | 次はウニですよ!
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「んほぉぉ!このウニはすごいッ! 濃厚でフルフルしてる!! 板ウニなんかとは大違いだ!!」
 | 日高のバフンウニは絶品です! 特に桜が咲く季節がシーズンになるので、 お花見でウニを食べるのが 浦河町っ子の楽しみ方です!
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 | 刺身の盛り合わせです! 中での目玉は、なんといってもツム貝ですね!
| 「ほう!サザエよりも柔らかくって甘味がある!」 | このツム貝は『灯台ツム(クビレバイ)』と呼ばれる 種類で、普通のツム貝の持つ毒素がないので 内臓まで食べられるんですよ。
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 | 生はもちろんですが、 焼いても甘味が増してオイシイです!
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 | おまたせしました! 本日メインのエゾジカのトマトしゃぶしゃぶです!
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 | ほら~、みてください! このエゾジカの肉には、なんと 脂がたっぷり乗っているんですよ!!
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(・・・・脂?)
(もしかして、ここのシェフは シカ肉のことを何も知らないのか?) (そもそもシカの脂は、豚や牛と比べて融点が高く、 蝋燭のように固くなるので食味が良くない。 現にシカの脂はその昔、蝋燭などの燃料や防熱用のワックス として使われていた物質だ。 よってシカは、たとえ脂が乗っていたとしても、 すべて除去してしまうのが常識。 はっきり言って、脂身のついたシカ肉を提供するのは、 ジビエのことをまるで知らないにわか。 もしくは何も知らないお客さんに、『脂が乗っている』という フレーズだけで売り込もうとしている言語道断なレストランだ。)
「・・・・えぇ~っとねぇ。シカの脂っていうのは」
 | まぁまぁジビエさん! その話は、とりあえず 食べてみてからにしましょう!
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(こんなの食べてみなくったって、 おいしくないのはわかって・・・・
(ま、まさかッ!!
まさかシカの脂を美味しく食べさせる
こんな方法があっただなんてっ!!)
 | ふふふ・・・ジビエさん、
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 | 確かにシカの脂は融点が高く、ローストや 煮込みにすると、少しでも時間がたてば 脂は固まって食感が悪くなる。 ・・・しかし、『しゃぶしゃぶ』ならどうなるッ!?
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「しゃぶしゃぶは、 お客に熱を入れさせる料理方法ッ・・・ つまり、食べる人のペースに合わせて加熱できるから、 お客さんは常に温かい状態で肉を食べるッ!」
 | そうッ!つまり、しゃぶしゃぶは 脂が固まる時間を与えないッ! だから美味しく食べられる・・・脂をッ!
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「くっ・・・俺はいままで、 『シカの脂は食べられない』という 固定観念にとらわれていたっ・・・! しかし、料理方法を工夫することで、 その欠点を克服することができたとは・・・っ!」

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