特別編:国産ジビエ業界には”集荷場”が必要だ





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狩猟ビジネス報告編その2。
今回は狩猟ビジネスの2つ目の柱である『食肉処理事業』について
所感を述べていきたいと思いますよ。






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➀食肉処理事業の経過
 駆除でしとめた獲物をジビエとして再利用しようという食肉処理事業。
世間一般でも「ジビエを新しい特産品として売り出そう!」という動きや、
中山間地域における雇用創出の機運などで注目を集めています。
そのような中、私がこの3年間で行っていたのが
ジビエの仲介です。

ジビエの仲介では、処理場で販売されているジビエを、主に都市圏の
レストランやイベント会社に紹介しするといった
B to Bの活動で、
仲介した先のレストランやイベンターからはジビエに関する意見や
問題点を聞いて、解体場にフィードバックするといった活動もしていました。


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(例:レストランで調理される仲介した鹿肉)

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例:銀座のとあるイベントで提供された仲介ジビエ)

 一見するとジビエの仲介と食肉処理事業は関係のないように思われますが、
商流の上流(解体場)と下流(レストランなど)を結ぶことによって、
ジビエの適正価格や消費者の”Want”を調査することができました。


 例えば、より具体的な話でいうと、
猪肉はキロ4500円
シカ肉はキロ3200円
スネなどの端肉はキロ1200円
(消費税抜き、送料抜き)が私の見出した国産ジビエの適正価格です。
高いと思われるかもしれませんが、ジビエのことがちゃんとわかっている
都市圏のレストランは、だいたいこのあたりが相場として見ています。
見積もりにケチをつけてくるところには、そもそもジビエのことを流行りもの
としか思っておらず、買い叩くのが前提なのでお付き合いをしない方が良いです。
あと直接顧客に販売するBtoCは取引量も少ないので商売としてのうまみはないです。
「地域の特産品として地元の市場で売る」なんてことをよく聞きますが、
ぶっちゃけマーケティングとしては糞以下なので、
市場は『都市圏』一択です。

 なお、ジビエの解体場の建設や運営についての話は、
8月刊行予定の『狩猟生活 Vol.4』というムック本に記事を
書かせていただく予定です。
露骨な宣伝ですがご覧いただけましたらと。










➁食肉処理事業の問題点
 ジビエを仲介している中で浮き彫りになってきた大きな問題が
『品質のばらつき』です。
もちろんレストラン側も野生動物の肉に品質のバラつきがあることは
百も承知なのですが、
「それにしても日本のジビエは、肉質が固かったり、
旨味が薄かったりと品質にバラつきがありすぎるからどうにかしてほしい。」

といった意見が多く聞かれました。

 上記問題点をひもといていくと、とどのつまり現在の国産ジビエ業界には
品質管理が必要だということです。
しかし品質を一定にするためには在庫を管理しておくための大型保管施設
(チルド室)が必要になり、それにともない固定費も跳ね上がります。
さらにH29年度から農林水産省主導で始まった『国産ジビエ認証制度』によると、
品質管理のための”金属探知機”の導入などが盛り込まれており、
ジビエ生産量(捕獲頭数)に何の保証もないのに、品質管理のためだけに
数千万クラスの設備投資を行うのは、
ビジネスとして到底無謀な話です。
http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/tyozyu/attach/pdf/180518-1.pdf




食肉処理事業の進展
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 そこで考えているのが『ジビエ集荷システム』
です
簡単に説明すると、処理場で生産されたジビエを集荷場に集め、
そこで品質管理や安全検査、トレーサビリティの確保を行い、
顧客の要求に応じて出荷するという流れです。
こうすることで、顧客のWantに応えることができるだけでなく、
個々の
ジビエ処理施設の設備費用を大幅に抑えることもできます。

 この商流では、解体場→集荷場→顧客と輸送費が倍かかるといった
問題が生まれますが、集荷場なら大量発注を受けることもできるので、
二次輸送のコストは圧縮されます。
また個々の処理施設では廃棄されていた端肉や骨といった部位も、
集荷場では大量に集まるため、商品化することもできます。

 なお、ジビエ集荷場は、集荷できる範囲が狭すぎると効果がないので
都道府県レベルで設置することになります。
そしてこの管理は狩猟者の協同組合が行うようになるでしょう。
農協ならず猟協ですな。




➃4年目から目指したいこと
 狩猟ビジネスとして食肉処理事業を行うために、この3年間で見えてきた
ことをまとめると、
まずジビエ流通には生産管理体制が必要で、
その生産管理体制を構築するには集荷場が必要、
そしてその集荷場を運営するためには協同組合を組織しないといけない
という流れになります。

 まぁ~、今のところ上記のような話を処理場の人にしても

「おらのジビエが一番うまい」
と返されるばかりで
協力してくれるところは見つかっていません。
しかし少しづつ草の根活動を続けて活動モデルを作るのが

4年目以降の目的になっています。



 ちなみにジビエ集荷システムは
『九州ジビエプロジェクト』
という名目で九州全域をターゲットとして行う予定です。
そして集荷場は九州物流の玄関口でもある
北九州に作ろうと考えています。
いちおう高知県でも『よさこいジビエ』といったブランディングに
力を入れていることもあり、ジビエ集荷システムのスタートアップには
すごく良い土壌だと思うのですが、実をいうと私はいま福岡に住んでいるので、
今後の活動は九州を中心に行っていくつもりです。

なぜ高知から福岡に移動したかといった話は次の機会にお話します。
 

(つづく)

[ 2018/06/18 18:09 ] 狩猟ビジネス | TB(-) | CM(2)

素人ですが

分かりやすく為になる記事をありがとうございます。
少し伺いたいことがあるのですが、記事最初にあった単価について、これは品質管理が出来ていることが前提のものでしょうか?
品質の向上と安定化が図られればもう少し高くしても良いよという顧客が多いのでしょうか?

狩猟ビジネスについてはまだまだ産みの苦しみがあると思いますが、これからも頑張り続けて欲しいです。
[ 2018/06/20 08:00 ] [ 編集 ]

Re: mkdさん

はじめまして!
この価格は品質管理が”十分でない”状態の肉、例えば「高熟成の肉が欲しい!」とか
「若くて柔らかい個体の肉が欲しい」、「骨も使いたいから枝肉ごと欲しい」
といったお客様の要求にこたえられていない価格です。
これまでお付き合いのあったお客様の中には、「1か月以上の高熟成肉なら、この倍の値段を
出してもいい」とおっしゃってた方もいらっしゃいましたよ。
なお、この値段には私の紹介手数料も含まれています。

狩猟ビジネスはこれからドンドン加速していきそうですね!
[ 2018/06/22 21:40 ] [ 編集 ]

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