止め刺し論


DSC_9781.jpg

罠猟でもっとも心苦しいのが、捕獲した動物の止め刺しです。
特に有害鳥獣駆除では人間の都合で殺されていく動物たちから、
不思議な思念を感じることがあります。





DSC_9824.jpg

例えば小型箱罠を水没させたとき、
酸欠によって開ききった瞳孔が青白く光り、
こちらに問いかけるように見つめられることがあります。




コミック6464  
その目が訴えかけてくるのは、怒りや恐怖ではなく
「なぜ?」
という疑念の感情
「なぜ、自分は死ぬのか?」
「死ねばどうなってしまうのか?」という純粋な疑問。

もちろん、私たちはその答えを知る由はありませんし、
その声無き声に応えるすべもありません。
私たちが唯一できることがあるとすれば、それは、
その疑問を感じる時間が少しでも短くなるように、
速やかに
安らかな眠りを与えることでしょう。






DSC_1283.jpg

 
さて、罠猟編最後となる今回のテーマは『止め刺し』です。
いや~・・・・この話はかなりセンシティブなので、
さんざん記事を書いたり消したりと苦しみました。
一時は書くのを辞めようかとも思いましたが、罠猟を語る重要なテーマ
なので、避けて〆るわけにはいきません。

また、今回のテーマで主軸に置きたかったのは、
「死ぬ苦しみと感情」だったのですが、
死刑の歴史やら宗教観やらなんやら調べていくうちに
結局自分の中で結論になるものを見いだすことができませんでした。
よって今回はただ単純に、止め刺しの技術的な話に的を絞って
進めていきたいと思います。
もともと書きたかったことについては・・・う~ん。
自分が死ぬ前までには、まとめておきたいですね。


①失血死

 DSC_0150.png

失血による止め刺しは、獲物を刃物で刺して出血多量で死に至らしめる方法です。
失血による止め刺しは銃猟で行われることもありますが、銃猟では銃創で
瀕死になっている獲物に行うのに対し、罠猟では活動能力が十分にある
獲物に対して行うため、技術面で大きく違います。



01おおpp


止め刺し時に獲物の動きを拘束するための道具
が『アニマルスネア』です。
このアニマルスネアを、箱罠なら檻の上から入れて、鼻や首をくくって
吊あげるようにして自由を奪います。
くくり罠の場合は、正面から鼻や首をくくって、足をくくったスネアと
一直線になるように引っ張って拘束しましょう。



コミック8 - コピー

くくり罠の獲物が大きい場合は引き負けてしまうことがあるので、
アニマルスネアの取っ手にロープを繋いで、トラッカーズヒッチ(3倍力システム)
で引くように工夫するとよいでしょう。





34仮xxxxxx

獲物を拘束したらナイフで左わきか、首の正面を刺して心臓部を切ります。
ナイフの刺し方は、
「心臓を刺すように、深くナイフを入れるよ」派や、
「心臓を刺すと止まってしまうから、大動脈を切るよ」派、
「大動脈よりも、大静脈を切った方が良いよ」
など、いろんな流派がありますが、
私はどれも一緒だと思います。
「心臓のポンプを使って血を絞り出す」という意見ですが・・・
う~ん、別に血管に血が残ってても肉質が変わるとは思えませんが。


DSC_4087.png

止め刺しに使用するナイフは7㎝あれば十分と言われていますが、
一般的には12㎝(4寸)を使う人が多いみたいです。
また、剣鉈のようにブッシュを刈り払うことを兼用する場合は
21㎝(7寸)ぐらいあると便利です。
それ以上長い27㎝(9寸)とかになると、取り回しもよくなく、
不便に感じることが多いようです。


DSC_2484.jpg

ナイフの形状は、先端が鋭くなった『クリップポイント』と呼ばれるタイプで
あれば問題ありません。
より止め刺しに特化させたいのであれば、刺した瞬間に血管を切断しやすくする
ために、ブレードが緩い「へ」の字に曲がった湾曲刃もおすすめです。




➁撲殺
 DSC_1122.png

撲殺は、こん棒のような鈍器を使って頭部を殴打する止め刺しです。
最終的には放血をしますが、直接の死因は脳挫傷になるので、
分けて考えられています。



DSC_4546.png

DSC_4551.png
確実に急所を殴打するためには、獲物の動きがある程度停止していなければ
なりません。
そこでイノシシ場合は威嚇で向かって来たときに、ワイヤーが完全に
伸びて
つんのめるタイミングで、鈍器を真上から振り下ろしましょう。



46.png


シカの場合は向かってこないので、どうしても追いかけっこになってしまいます。
そこで『鳶口』という道具を使って、足にかかっているワイヤーをひっかけ、
引き寄せて頭部を殴打しましょう。


DSC_4612.png

鈍器は殴打するパワーを出すため、先端に重心がこなければなりません。
カシなどの固い木を削って作る人もいますが、初心者のうちは『金属バット』が
一番扱いやすくておすすめです。
鳶口も先端に重量があるため、鈍器としても使用できます。





➂感電死
cvcvvvvvs333.jpg

感電死は、電殺器を使う止め刺し方法です。
電気によって瞬間的に意識を失わさせる電殺は、屠畜場でもおこなわれる
方法なので、いちおう現在”もっとも苦痛の少ない止め刺し方法”
だといわれています。(もちろん、それを証明するすべはありませんが)



DSC_0008xx.png

電殺器は5万円程度で市販されていますが、ホームセンターで売っている
バイク用のバッテリー(DC12V、6A)と、
車載用インバーター(AC100V、定格300W)を利用することで、
全体として1万円程度で自作することもできるようです。
電極を削って尖らせないといけないので、そのような工具を持っていない場合、
自作するメリットは薄いかもしれませんが・・・。





具体的な方法は、こちらの動画が一番わかりやすいと思います。
電殺では地面との導通が良くないと気絶させきれないことが多いので、

2Lのペットボトルに水を入れていくのを忘れないようにしましょう。





➃窒息死

DSC_9816.png

窒息により止め刺しをする方法は、箱罠ごと水中に沈めて溺死させる方法と、
アニマルスネアで首をくくって締め上げる方法があります。

溺死させる場合は、少しでも息継ぎができてしまうと、無駄な苦しみを
与えてしまうので、
箱罠の上部が完全に漬かる水深のある場所に沈めましょう。
沈める時間は蘇生の可能性を防ぐために、5分以上は漬けるようにしましょう。




コミック9

首をくくる場合は、アニマルスネアを檻の前方から入れて、柱や木の枝に
ロープをまわし、体重をかけて一気に締め上げるようにします。

窒息による止め刺しは苦痛が大きいように思われますが、
急激に頭部へショックを与えると瞬時に気絶させることができるため、
電殺よりも苦痛は少ないといわれています。
ただし、うまく気道が潰れるようにスネアをかけるのには、
かなりの慣れが必要になります。





    






[ 2018/08/31 00:42 ] ハンティング 罠猟 | TB(-) | CM(2)

出来る限り苦しんで欲しくないので水没はあまり気が進みませんねぇ。止め刺しとは話がズレますが、個人的に銃やナイフに装飾目的の彫刻を施すのは好きではありません、奪う命に対しておこがましい気がするからです。
[ 2018/09/01 04:21 ] [ 編集 ]

Re: 鬼手鬼心 さん

水没は肺に水が入るので苦しみの強い止め刺しの仕方だといわれていますが、
溺死しかけた人の証言では「苦しみは一瞬だった」というのもあったりします。
実際にどうなのかは・・・わからないですね。
[ 2018/09/04 20:31 ] [ 編集 ]

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する